▼▼ Head Line ▼▼

傑作ちゃんねる -2ch傑作まとめ TOP  >  スポンサー広告 >  SS >  勇者「お前が勇者をやってみろ」魔王「どうしてそうなる?」

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --年--月--日 --:-- ] カテゴリ:スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

勇者「お前が勇者をやってみろ」魔王「どうしてそうなる?」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 00:36:39.89 ID:wqn4CCQG0
勇者「どうしてだと? お前のような自己中がいるせいで一番迷惑している人間が俺だからだ」

魔王「ほう・・・・・・」

勇者「モンスターを人間の住む村や町に送り人を殺せば、棺桶屋だけじゃなく俺の仕事が増える。
   これくらい言う権利はあるだろう」

魔王「権利はあるだろうが、それがなぜ我が勇者をやらねばならん事と直結するのだ」

勇者「理由はいろいろあるが、極論を言えば・・・・・・いいかげん疲れたからだよ」

魔王「疲れただと? 貴様、それでも人類の希望を背負った勇者か?」

勇者「そこだよ、問題は」

魔王「何?」

勇者「歴代の勇者がどうだったかは知らないが、俺は神様だか精霊だかの勝手なお告げのおかげで
   ある日突然勇者に抜擢されたんだ。 剣も、槍でさえもったことのない俺がな。
   翌日からは修行修行また修行。 青春を感じる暇もなくモンスター退治の日々だ」

魔王「そういう事なら我にだって言い分はあるぞ。 歴代魔王がどうであったかは知らぬが、
   先代が勇者に破れて以来、モンスター達は大人しく暮らしていた。
   それを貴様ら人間が残党狩りよろしく異形だからと、相容れないからという理由で殺しまくったから、
   別にそんな気もなかった我が無理やり担ぎ出されたのだ」

勇者「各国の宝剣、宝玉、宝石に太古の文献や装飾品を片っ端から奪い去っていく癖に、そんな気はなかっただと?」

魔王「そんな気がなかろうと、それらしい所を見せておかねば周りが納得せんのだ。 これでも我は魔界の統治者だからな」

勇者「私情は一切ないと?」

魔王「言うなれば、それが唯一の私情だ。 我は欲しいと思ったものは必ず手に入れる」





2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 00:42:26.36 ID:wqn4CCQG0
勇者「勝手なことを・・・・・・っ」

魔王「そういうお前はどうなのだ。 選ばれたからというだけで、殺戮の限りを繰り返してきたではないか。
   もしかしたら、この世界でもっとも魔王に近しい存在だとは言えないか?」

勇者「好んで殺したことなど一度もない! 生きている者を殺すなんて、苦痛でしかなかった。 
   それでも、俺が戦わなければ人が死ぬ。 勝手に勇者にされた俺にとっては、
   戦ったその先にある人々の笑顔だけが救いだった。 誰かを救った分だけ、俺の心も救われた」

魔王「まさしく、勇者のセリフだな。 勝手にノミネートされた割には心の蔵まで勇者ではないか」

勇者「そうせざるを得なかったんだ。 お前には、この苦しみは分からないだろう。 これは・・・・・・呪いと一緒だ。
   貴様もやってみればわかる。 誰かを救わなければ、ならない強迫観念。 善行を重ねなければならないという苦行」

魔王「ふん、我にはいささかも関係のないことだ」

勇者「そこでだ、お前に勇者をやってみろと言った理由のその2」

魔王「何だ?」

勇者「俺はお前も救ってみせる」

魔王「・・・・・・我を、救うだと? どういうことだ? 気でも狂ったか勇者よ」

勇者「狂いたくても狂えないように出来てるのが勇者なんだよ」

魔王「まったくもって理解できぬ」

勇者「別に難しい話じゃない。 魔王という悪行を重ねなければならない存在から開放してやるって言ってるんだ」

魔王「貴様と違って魔王のそれは苦行というほどではないぞ」

勇者「勇者をやってみろといったその理由その3。 そんなお前へのあてつけだ」




5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 00:52:44.85 ID:wqn4CCQG0
魔王「・・・・・・どうやら、此度の勇者は最初から異常だったというわけだ。 
   それならば、貴様の仲間が後ろに控えている年寄りの賢者一人というのも頷ける」

賢者「ふぉっふぉっふぉww わしのことは気にせずに。 ささ、続けなされ」

勇者「爺さんはただの付き添い人だ」

魔王「付き添いだと?」

賢者「わしは手をださんわいw」

勇者「そういう事だ。 だから、まずは・・・・・・」 チャキ

魔王「ようやく構えたか。 まぁ、そうだろうな。 でなければ、貴様が我が城まで出向いてきた意味がない。
   とどのつまり、魔王と勇者とはこういう関係でしかないのだ」 チャキ

勇者「爺さん、手は出さないでくれよ。 世界最高峰の賢者とて、魔力はきっちり温存しておいてくれ」

賢者「分かっておるわいww ふぉっふぉっふぉww」

魔王「ラスボス相手に随分な余裕ではないか。 貴様一人で我に挑もうというのか? 随分と舐められたものだ」

勇者「舐めちゃいないさ。 しかし、これは俺がやらなくちゃはいけないことだ。 もう、神も精霊も関係ない。
   国からの要請も受けない。 華やかなパーティーにも出ない。 これが俺の、最後の仕事だ」

魔王「ならば、その役職から我が解き放ってやろう。 貴様の死をもってしてな!」 ダッ

勇者「・・・・・・それは、どうかな!」 ダッ



―――勇者と魔王の剣が激しい音を立ててぶつかった!!




7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 00:55:39.37 ID:wqn4CCQG0
―――1時間後




勇者「はぁ、はぁ、はぁ」

魔王「や、やるではないか、はぁ、はぁ。 勇者よ・・・・・・」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ。 お前も、剣を支えにして立つのがやっとじゃ・・・・・・ないかっ」

魔王「っふ、それは貴様とて同じこと。 しかし、はぁ、本当に手を出さぬとはな、賢者よ・・・・・・。
   確かに、勇者一人で我をここまで追い詰めるとは驚きだが・・・・・・っく、勇者が惜しくはないのか・・・・・・」

賢者「ふぉっふぉっふぉww そういう約束じゃったからの。 じゃが、そろそろかの? 勇者・・・・・・」

勇者「あぁ。 っぐ、もういいだろう。 お互い、ここまで消耗すれば・・・・・・」

賢者「本当に、いいんじゃな?」

勇者「構わない。 これは俺が望んだことなんだから」

賢者「分かった。 ならば、もはや何も言うまい」

勇者「・・・・・・短い付き合いだったが。 面倒な役割を任せて、本当にすまない。 だが、ありがとう」

賢者「それが、年寄りの役割というものじゃて。 わしも楽しかった。 ・・・・・・いくぞいっ!!」 キィィン!!


―――賢者は両手に魔力を集中させた!!




9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:06:09.16 ID:wqn4CCQG0
魔王「何っ、何だこの光はっ!?」

勇者「言ったろう。 俺はお前を救ってみせるってな」

魔王「貴様まだそんな世迷いごとを・・・・・・っ。 貴様のエゴに我が屈すると思ってか!!」

勇者「魔王にそんな事を言われれば褒め言葉だな。 っぐ、あぁぁぁ」

魔王「っぐぁっ! 意識が・・・・・・。 賢者っ! 貴様か!!」

賢者「じっとしておれ!! この魔法は術者の負担も相当なのじゃからな!!」 キィィン!!

魔王「貴様、手は出さぬと言ったではないか!!」

賢者「確かに、わしは手は出さぬと言ったな」

魔王「そうだ!!」

賢者「あれは嘘じゃww」

魔王「爺ぃ貴様ぁぁぁ!!」

勇者「賢者ぁぁ!! やれぇぇぇ!!」

魔王「ぐわぁぁぁぁ!!」

賢者「うりゃぁぁぁ!!」




―――大広間を眩い光が埋め尽くした。 そして、しばしの時が流れた。




10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:10:26.36 ID:wqn4CCQG0
* 「・・・・・・う、うぅ」

賢者「気がついたか? 随分長いこと眠っていたのう。 日頃の疲れが溜まっていたんじゃないかの?
   ふぉっふぉっふぉww」

* 「賢、者・・・・・・?」

賢者「まぁ、もう少し休んでおってもよかったんじゃがな。 全て、終わった後じゃ。
   わしも、些か疲れたわい。 ふぉw」

* 「終わった、だと? ・・・・・・っ!? 勇者は!! 奴はどうした!?」

賢者「ふぉっふぉww 何を言うとるんじゃww 自分のなりをよく見てみろ」




賢者「どっからどう見ても、お主が勇者ではないか」



勇者「何、だと・・・・・・?」 ペタペタ

賢者「そう自分の顔を撫で回さんと分からんのか?」

勇者「こ、これは・・・・・・」

賢者「その様子じゃと、どうやら成功したようじゃな」

勇者「一体、どうなったというのだ?」

賢者「ふむ、簡単に言うとじゃな、精神を入れ替えたのじゃ」

勇者「ふざけた事を・・・・・・。 しかし、この体は・・・・・・」

賢者「髪が白くなったのは、それだけの負荷がかかったか、元々魔王だった時の髪色が白かったからか・・・・・・。
   それ以外は完璧なまでに勇者じゃな。 っふぉw」

勇者「馬鹿な!! このような事が・・・・・・っ」

賢者「実際に起こっておるじゃろうが。 あまり無茶をするでないぞ、先程まで激闘を耐えていた体じゃ。
   そうとうくたびれているはずじゃぞ」

勇者「・・・・・・ならば奴は、勇者はどうした!?」

賢者「だから、それはお前じゃと」

勇者「違う! そうではない。 元勇者のことだ」

賢者「ふむ、それなら・・・・・・」




11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:13:53.16 ID:wqn4CCQG0
勇者「・・・・・・」

賢者「もうおらんよ」

勇者「お、おらんだと?」

賢者「居ないっていう意味じゃ」

勇者「分かっているわ!! 居ないとはどういうことだ!!」

賢者「貴様が眠りこけている間にの・・・・・・」

勇者「何だ」




賢者「わしが消し飛ばした」




勇者「・・・・・・・・・・・・は?」

賢者「跡形もなく、影も残さず、塵一つ許さず、この世界から消滅させた。 もはや、残ったものなど何もない」

勇者「だが精神を入れ替えたからには、我の肉体には、勇者がいたのではないのか?」

賢者「その通りじゃ。 まさに、魔王の肉体に勇者の精神が宿った」

勇者「承知の上でか?」

賢者「もとより、勇者が望んでおったことでな。 わしは約束通り、動いたまでよ」

勇者「勇者の精神ごと、我が肉体を・・・・・・」

賢者「おぬしも消耗しておったでな、なかなか骨は折れたが、バッチシじゃw」

勇者「・・・・・・」

賢者「・・・・・・っふぉww」

勇者「・・・・・・」 ギリッ

賢者「ふぉ?」

勇者「おのれぇぇぇぇ!!」 キィィン!!




12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:16:13.89 ID:wqn4CCQG0
―――勇者は手の平に魔力を集中させた! しかし、途中で霧散した!


勇者「っく、魔法が、どうしたというのだ!?」

賢者「無駄じゃよ。 お主が今付けている魔石付きの指輪をしている限り、一切の魔法は使えん」

勇者「何だと!? ・・・・・・っぐ、外れないっ」

賢者「そりゃあ、魔力で引っ付いておるからな。 油を塗りこんでも絶対に外れんよ」

勇者「ならば、この腕ごと切り落とすまでよ!!」 ブン!

賢者「・・・・・・無駄じゃ」

勇者「うっ・・・・・・っ」 ガクン

勇者「何故だ・・・・・・何故剣を振り抜くことができない!?」

賢者「当たり前じゃ。 勇者の自傷自決行為など、神や精霊がお許しになるはずがない」

勇者「っく・・・・・・」

賢者「勇者とは魔王を倒し、象徴として語り継がれなければならぬ者。
凱旋し、世界に平穏を詠わねばならぬ者。 何よりも、非道な行いを起こそうと思うものなら、
即座に制裁がその身に楔を打ち込む。 それが一生、お主につきまとう。
  “彼”も言っておったじゃろう。 呪いだと」

勇者「ふん、非道な行いだと? ならば試してやろうではないか。 貴様を剣の錆にしたあ・・・・・・とで・・・・・・」 フラリ・・・・・・

賢者「頭痛と脱力感が半端じゃないじゃろ? そうなるんじゃよ」

勇者「ぐ、がぁぁ!!」

賢者「善行を幾度となく繰り返し、神や精霊から真の信頼を得るまで、矯正という形で続く呪いじゃ」




13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:19:28.93 ID:wqn4CCQG0
勇者「くっ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

賢者「まぁ、いい子でいれば、次第に監視も緩くなり、やがては開放されるじゃろう」

勇者「悪になりたければ、まず聖人であれというのか・・・・・・くそっ」

賢者「まぁ、簡単に言えばそうじゃな」

勇者「こ、これは本当に、呪いと同じではないか・・・・・・」

賢者「勇者とは善行を行いし聖人。 神や精霊は、その行いと引き換えに、
   人の身には余るだけの力を授けてくださる」

勇者「まるで、心臓に杭を打ち込まれたかのような気分だ」

賢者「精神が魔王であることで、補正が働いているのかもしれんのう。 ふぉっふぉww」

勇者「封印される魔王とは、この様な心境であったのだろうか」

賢者「何を言っておる。 悪事さえ働かなければ、食事も散歩も風呂も入れる。 
   おまけに、魔王を倒した勇者としての生活が待っておるんじゃぞ? 左団扇ではないか」

勇者「魔王には毒ガスを吸わされ続けられるようなものだ」

賢者「ふぉっふぉww 馴れじゃよ、馴れ。 まぁ、早いこと受け入れることじゃな。 
   最早どうしようもないことなのじゃ。 元の肉体はなく、悪事を働けない。 
   元魔王として、器の大きいところで現実を受け止めておけ。 ふぉっふぉっふぉww」

勇者「っく・・・・・・歴代魔王の中で、最も不憫な者として伝説になりそうだ」

賢者「今は勇者じゃろ。 安心せい。 しばらくはわしがお主の世話を焼いてやるわい。
   人間の世界での生活なんてしたことないじゃろうからな。
   それも、“彼”との約束のうちじゃなからな」

勇者「・・・・・・確かに、これ以上何を思ったところで建設的ではないだろう」




14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:23:37.13 ID:wqn4CCQG0
賢者「ふぉっふぉっふぉww 切り替えが早くて助かるわい」

勇者「まだ、納得するまでには時間がかかるだろうが、停滞していたところで物事は好転しない」

賢者「では、早速行くかの」

勇者「どこへだ? 城か?」

賢者「その前に、まずは家に帰る。 さすがにボロボロの服で謁見しては様にならんじゃろう」

勇者「ふん、人間どもは一刻も早く魔王討伐の知らせを聞きたいと思うがな」

賢者「かもしれんが、おそらく謁見の後は雪崩のような勢いで行事やらパーティーやらが遂行されるやもしれん。 
   我が国の王はあれで良く出来た人物じゃが、その場のノリで事を進めたがる。 
   わしも初めての大魔法で流石に疲れたわい」

勇者「・・・・・・分かった。 ならば、さっさと行くとしよう。 
   もはや、魔王ではなくなった我にとって、王城に残る意味はない」

賢者「うむ、ではこの魔法陣に入るがよい。 家まで一瞬じゃて」 ブゥン

勇者「あぁ・・・・・・」

賢者「む? どうしたのじゃ、玉座に未練でもあるのかの?」

勇者「・・・・・・これが勇者の望んでいたことなのか、とな」

賢者「考える時間なら、それこそこれからいっくらでもあるわい ふぉっふぉっふぉww」

勇者「確かに、そうだな」

賢者「よし、それじゃあ行くぞい!!」





―――賢者は転送魔法を唱えた!!




15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:26:04.98 ID:wqn4CCQG0
―――王国郊外の森



賢者「ふぅ、懐かしの我が家に到着じゃわい」

勇者「ここが貴様の家か。 深い森の中に一軒家とは、肩書き通りのイメージだな」

賢者「賑やかな街も嫌いではないが、わしはやっぱり静かな場所が好きなんじゃよ」

勇者「で、そんな隠居暮らしの賢者に、我に合う服など持っているのか?」

賢者「もちろんじゃとも。 さぁ、立ち話をしていたところで始まらんわい。 早速“わしの城”へ招待しよう」




16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:29:39.90 ID:wqn4CCQG0
―――賢者の家


魔法使い「あ、お師匠様! お帰りなさい!」

賢者「ただいまじゃ。 魔法使い、元気にしておったか?」

魔法使い「はい! 課題もばっちり終わっています! それで、そちらの方は・・・・・・?」

勇者「我か? 我は魔おへぶし・・・・・・っ!!」 パシイィン!

賢者「ふぉっふぉっふぉwwww こやつは勇者じゃ。 魔王の討伐が終わったからの、一息入れに帰ってきたのじゃ」

魔法使い「お師匠様、そのハリセンはどちらから・・・・・・って、魔王を倒したんですか!? そんなさらっと・・・・・・いえ、でもすごいです!! さすがお師匠様!!」

賢者「ふぉっふぉwwww そうじゃろそうじゃろww」

勇者「・・・・・・っ」

賢者「魔法使いよ、悪いが茶を煎れてくれぬかの? いかにグレイトな天才のわしでも、いささか疲れたわい」

魔法使い「は、はい! ではお掛けになってお待ちください。 昨日町に出た時、いい茶葉を見つけたんです!」

賢者「それは楽しみじゃわい。 のう、勇者よ」

勇者「・・・・・・あぁ。 所で、あの女はお前の弟子なのか?」

賢者「うむ、魔法使いと言ってな。 元は王国の書物庫で働いておったのをわしがスカウトしたのじゃ」

勇者「ほう、貴様ほどの者がスカウトするとなれば、さぞや才能あふれる逸材なのだろう」

賢者「ふぉっふぉっふぉwwww それがの、魔法使いとしてのセンスは欠片も無かったのじゃ」




17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:33:32.91 ID:wqn4CCQG0
勇者「・・・・・・笑い事か。 ではなぜ弟子にしたのだ?」

賢者「あの子はの、ありとあらゆる文章や絵画を読み説くことに関したら、
   この世でもっとも優れていると言っても過言では無いじゃろうな」

勇者「・・・・・・本当か?」

賢者「古い文献から読み取った道具やアイテムをわしの工房で再生したのは一つや二つではない。
   勇者と魔王の精神を入れ替える術を発見したのも、
   魔法使いのアイデアをわしが盗み見してちょいといじったものじゃからな」

勇者「それほどの才能、確かに埋もれさせるにはおしいな。 よくぞ見つけだしたと・・・・・・」

賢者「それにの、やっぱりかわいい子が身近におると、モチベーションが違うじゃろww ふぉっふぉっふぉwwwwwwwwww」

勇者「爺ぃ・・・・・・」




18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:37:13.19 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「お待たせしました」 カチャリ

賢者「ふぉっふぉwwwwww それほど待ってはおらんよ」

勇者「あぁ・・・・・・」

魔法使い「お師匠様は砂糖二つですよね?」

賢者「さすが我が愛弟子。 わしの好みを完璧に覚えておるのww」

魔法使い「勇者様、お砂糖とミルクはお使いになりますか?」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「勇者様?」

賢者「お主の事じゃ」 パコン

勇者「うぉっ!? そ、そうだったな。 うむ、我はストレートで構わん」

魔法使い「そうですか? じゃあ私と一緒ですね。 私も紅茶はストレートで飲むのが好きなんです」

賢者「じゃあわしも!!wwww」

勇者「張り合うな爺ぃ!!」




19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:44:01.90 ID:wqn4CCQG0
勇者「ズズ・・・・・・しかし、魔法を使わない魔法使いというのもおかしな話だな」カタン

賢者「ゴキュッゴキュッ!! ぷふぁ。 なにを言うとる。 しっかり使えるわい」ゴトン

勇者「何? しかし貴様はさっき才能がないと」

魔法使い「あ、あはは。 確かに、私には魔法を使う才能はないんですが、
     それを補う方法は持っているんです」

勇者「補う?」

賢者「うむ、魔法使い、見せてあげるのじゃ」

魔法使い「よろしいんですか? お師匠様は以前、こういった道具は誰にも見せてはならないと・・・・・・」

賢者「ふぉっふぉww ここにはおかしなことを考えたり、腹をさぐり合う者はいない。 
   どぉーんとお主の才能を見せつけるのじゃww」

魔法使い「ふふ、分かりました。 勇者様、これが、私が魔法使いと名乗れる為のアイテムです」 コトン

勇者「これは、クロスボウに筒が添えられているようだが・・・・・・弦がない。
   それに、クロスボウに比べたらかなり小さいな」

魔法使い「古い文献を見て、私が組み立てたんです。 魔力投射装置(マジックボウ)という名を付けました」

勇者「ほう、名前から察するに、どうやらこれは矢ではなく、魔法を放つ頃が出来ると?」

賢者「うむ、我が弟子会心の一品じゃな」

勇者「正直に言えば、眉唾な代物だな。 本当にそのようなことが可能なのか?」




20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:48:26.50 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「このマジックボウには矢の変わりに魔力を込めた魔石を装填します。 
     魔力自体は他の魔法使いの方に込めてもらえば大丈夫です。 
     それで、クロスボウと同じように引き金を引けば、魔法が使えないものでも、
     即座に魔法を放てるというわけです。 込める魔法によって汎用性も増します」

勇者「それは・・・・・・実際にその通りだとしたら、この世界のパワーバランスが簡単に崩れさりそうだな」

魔法使い「ですね。 でもご安心ください。 武器の作り方が書いてある文献は、
     今ではお師匠様が封印してしまったので、設計図はもう私の頭の中にしかありません」

賢者「まぁ、あれは今の人々にはまだ早い代物じゃ。 今は無い方がいいじゃろう」

勇者「しかし、それが大量生産されていたら、魔界など瞬く間に蹂躙されていただろうな」

魔法使い「いえ、そう簡単な話でもないのです。 このマジックボウは、
     本体よりも魔力を込める魔石の方が遙かに重要で、たくさん作れるわけではないのです」

勇者「・・・・・・そうか」

賢者「魔力を込めることに関しては、グレイトなわしがいるから何にも問題はない」

魔法使い「早く自分で魔力を込められるようになりたいです・・・・・・」 テレテレ

勇者「(文献を読んだからといって、一からこれほどの物を組み上げるとは・・・・・・)」




21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:54:19.06 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「お師匠様、勇者様、まだお時間はありますか?」

勇者「どうなんだ、賢者」

賢者「ふむ、一服も終えて、着替えもすんだ事じゃし、まぁ、まだゆっくりしていられるかの。
   どうせわしの転送魔法で一瞬じゃしwwwwww」 ドヤァ

魔法使い「あの、もう少しでクレームブリュレが出来るんですけど、食べてから行かれませんか?」

勇者「クレーム・・・・・・? なんだそれは?」

賢者「おお、魔法使いの作る料理の中でも、まか格別にうまいやつじゃな!
   勇者、食べておいて損はないぞww」

勇者「ほう。 しかし、我が舌を唸らせる程のモノかな? 
   これでも、魔界の料理はあらかた食べぶふぁっ!?」 パシイィン!!

魔法使い「え、魔界?」

賢者「ほ、ほれ、わしも勇者も腹ぺこなんじゃ。 さっそく持ってきてはくれぬかの? 
   ふぉっふぉっふぉwwwwww」

魔法使い「あ、はい! 分かりました!!」 タタタ




22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 01:59:39.29 ID:wqn4CCQG0
―――3分後


勇者「な、なんだ、これは・・・・・・っ!?」

勇者「(表面のパリッとした感触もそうだが、その下にある甘い香りとトロリと溶けるクリーム状の存在感。
   一口でも口に入れれば、濃厚な味が下を楽しませ、口腔内の香りが鼻を抜ける際にはまた違った甘さが・・・・・・っ!?」

勇者「これを、魔法使いが?」

魔法使い「お口に、合いませんでしたか?」

勇者「いや、これほど完成度の高いデザートは初めて食べた。 
   言葉で飾ることが不可能なほど美味である」 ニコリ

魔法使い「あ、あはは/// そこまで言ってもらえると、私も嬉しいです」 テレテレ///

賢者「(勇者になった甲斐が少しはあったじゃろ)」 ヒソヒソ

勇者「(これほどのものを食べた後では、今だけは否定する言葉を持たん)」 ヒソヒソ

魔法使い「何を話しているんです?」

賢者「ふぉっふぉっふぉww なに、勇者があまりの美味さに魔法使いを嫁に欲しいなんぞ言うもんじゃから、
   窘めておったのじゃww」

勇者「うむ、我のそばで毎日作って欲しいくらいだ」

魔法使い「え!?」 ///

賢者「え?」

勇者「ん?」




23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:02:45.84 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「あ、紅茶が切れてしまいましたね。 同じものをすぐに買ってきます」

賢者「よいよい、別のものでかまわぬわ」

魔法使い「いえ、せっかく長旅から帰ってきたのですから、私もくつろいでもらいたいんです」

賢者「そうか、すまんのう・・・・・・」

勇者「悪いな」

魔法使い「ふふ、ごゆっくりどうぞ」スチャ



―――魔法使いはマジックボウの射出口を自分のこめかみにあてた!!


勇者「な、何をする気だ!?」

魔法使い「では、行ってきます」 ダァン!


―――魔法使いは 転送魔法を放った!!


勇者「・・・・・・っ!?」

賢者「ふぉっふぉww 魔石に転送の魔法を込めておいたんじゃよww」

勇者「先に言っておけ。 肝が冷える」

賢者「わしは結構見慣れたもんじゃからな。 うっかりしておったわい。 ふぉw」

勇者「爺ぃ・・・・・・」



―――勇者と賢者、そして魔法使いはまったりとした時間を過ごした。




24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:09:56.37 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「魔王を倒して、これからどうなさるんですか?」

勇者「(これからも何も、我は人間としての振る舞いなどしらぬ)」

賢者「ふぉっふぉwwww 決まっとるじゃろ。 勇者など、魔王討伐までの肩書きでしかないんじゃ。
   その後は何でも好きにしたらいい。 そうじゃなぁ・・・・・・勇者としての伝説を広めるために、
   冒険者なんかいいのうwwww」

勇者「冒険者?」

賢者「(善行を重ねて、戒めを早く解きたいなら、自分からそのチャンスを探しに行かんとのう)」 ヒソヒソ

勇者「(・・・・・・一理あるか)」 ヒソヒソ

勇者「・・・・・・そうだな冒険者にでもなるか」

魔法使い「あ、素敵ですね! 冒険かぁ・・・・・・。 私は地図を見て卓上旅行するのがせいぜいです。 
     でも、いつか自分の足で世界中を周りたいですね」

賢者「ふぉっふぉwwww お主は珍しい文献が見たいだけじゃろうwwww」

魔法使い「は、はいぃ・・・・・・」 テレテレ

勇者「そうなのか? なら、共に世界を回るか? 卓上旅行が趣味なら、地図の見方はわかるのだろう? 
   あいにく、我はそれほどでもない」

魔法使い「ほ、本当ですか?」

賢者「ふぉっふぉwwww お主さらっとフラグたてるのうwwww」



―――賢者の家で落ち着いた時間を過ごし、勇者と賢者の疲れがとれた。




25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:12:34.05 ID:wqn4CCQG0
賢者「さて、そろそろ城に出向くとしようかの! ふぉっふぉw」

勇者「あぁ、そうだな。 いい休憩になった」

魔法使い「あの、お師匠様。 工房で使う素材が切れそうなので、私も城下町で買い物をしたいんですが・・・・・・」

賢者「おぉ、ならば一緒に行くか。 もしかしたら、一緒には帰れんかもしれんが・・・・・・勇者も構わんか?」

勇者「あぁ」

魔法使い「ありがとうございます!」
   
賢者「では、行くぞい。 ふぉふぉww」 ブゥン



―――賢者は転送魔法を発動させた!!




26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:16:48.20 ID:wqn4CCQG0
―――城下町




勇者「ここがこの国の城下町か。 なかなかの賑わいだな」

魔法使い「王様の人柄と、政への手腕のおかげで、流通が盛んなのです。 
     大抵のものなら何でも揃うんですよ。 ・・・・・・あれ、ご存じなかったんですか?」

勇者「い、いや。 もちろん知っていた」

賢者「では、行くとするかの。 まぁ、城で引き止められても深夜までには帰るつもりじゃ。
    パーティーではたらふく頂くつもりじゃがなww ふぉっふぉっふぉww」

魔法使い「では、せっかくなので、私も町で食べて帰りますね」

賢者「うむ、ではの」

魔法使い「パーティー、楽しんで来てくださいね。 それでは」 ペコリ スチャ


―――魔法使いはマジックボウの射出口を自分のこめかみにあてた!


勇者「ちょっと待て!!」

魔法使い「は、はい?」

勇者「・・・・・・そう遠くもないのだろう? 歩いていくがよい」

魔法使い「え・・・・・・?」

勇者「(二度目でも慣れぬな。 魔法使いの頭が吹き飛ぶ光景を幻視する)」

賢者「ふぉっふぉww その魔石は、町から家に帰るときにでも使うのじゃww」

魔法使い「は、はい・・・・・・。 分かりました」 ニコ




27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:19:08.74 ID:wqn4CCQG0
賢者「どうする勇者よ。 多少見物でもしていくか?」

勇者「これから嫌と言うほど見ることになるのだろう? さっさと向かおう」

賢者「ああ、それとのう、勇者よ」

勇者「何だ?」

賢者「王の前で余計なことをして、わしの仕事をふやさんでおくれよ」

勇者「・・・・・・あぁ」




28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 02:20:33.72 ID:wqn4CCQG0
―――王城 執務室


兵士「ほ、報告!!」バタン

大臣「何事だ!? 会議中であるぞ!」

兵士「はっ、 しかし・・・・・・」

王「かまわぬ、何があった?」

兵士「勇者が、勇者様が・・・・・・ご帰還されました!」

王「何!? 勇者が帰ってきたと!?」

大臣「・・・・・・!?」

兵士「はっ! 御仲間と思われる方とご一緒に、現在来賓室でお待ちいただいています」

王「すぐに向かう!! 英雄をいつまでも待たせるわけにはいかん!!」 タッタッタ

兵士「はっ!」 タッタッタ




大臣「っく。まさか、このタイミングで・・・・・・」





36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 12:32:46.00 ID:wqn4CCQG0
―――王城 玉座の間



王「よくぞ、よくぞ戻った勇者よ!! 私は今日、いや、今日まで生を受け、これほど感極まったことがあろうか!」

勇者「・・・・・・」

賢者「お初にお目に掛かります、国王陛下。 わしは勇者の旅の途中、仲間に加わった賢者という者です。 
   この度は謁見の場に加えてくださり、ありがとうございます」

勇者「(貴様、真面目に話せるんじゃないか)」 ヒソヒソ

賢者「(男が格好つけれる場面というのは、一生のうちでも数えられる程じゃからな)」 ヒソヒソ

王「そなたが賢者か。 世界屈指の魔法の腕、その点に疎い余でも聞き及んでおる。 本当によくやってくれた。 
  魔王討伐というその大業、そなた達二人の名は、永遠に語り継がれるであろう」

勇者「(しかし、これが人間達の・・・・・・この国の王か。 貫禄はあるが、魔力を封じられた俺にも簡単に殺れそうだな)」 ヒソヒソ

賢者「(懲りない奴じゃ。 またぶっ倒れるぞ)」 ヒソヒソ

勇者「(・・・・・・あぁ。 思っただけで軽く冷や汗が出た。 監視体制完璧すぎるな)」 ヒソヒソ

賢者「(神や精霊は、いつでもそばにおる)」 ヒソヒソ

王「む? 勇者よ、顔色が優れぬようだが、如何なされた? 思えば、出立した頃よりも髪が・・・・・・」

賢者「陛下、勇者は魔王討伐戦にて心身ともに限界以上の疲労がその身に溜まっています。 お許し頂けるならば・・・・・・」

王「おお、そうであったな。 すまぬ、英雄に対して配慮が欠けていたようだ。 しばしその身を休めるがよい。 そして、英気を養えたなら、国中より集まったシェフが食べきれぬ程の食事を用意しよう。 今宵のパーティーに出席願えるなら、顔だけでも出して頂きたい。
  皆、英雄の姿を見たいと思っているのだ」

賢者「分かりました。 お心遣い、感謝します。 では勇者、行くとしようかの」

勇者「・・・・・・わかった」

王「大臣、勇者と賢者の休める部屋を用意するのだ」

大臣「畏まりました。 勇者様、賢者様。 ご案内いたします・・・・・・どうぞこちらへ」




37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 12:36:36.14 ID:wqn4CCQG0
―――城下町 酒場

客「なぁ、今日城の明かりって灯ってたか? いつもより暗かった気がしない?」

ウェイトレス「え~、どうだったかしら。 夕方には私仕事してたから分かんな~い」

魔法使い「・・・・・・」

魔法使い「(勇者様とお師匠様、パーティーはまだなのかしら?)」

店主「どうしたんだい魔法使いちゃん、何か考えことかい?」

魔法使い「え、い、いえ。 やっぱりここの生ハムは最高ですね。 何度食べても飽きませんよ」

店主「ははは、食通の魔法使いちゃんにそう言ってもらえれば、まだまだこの店も安泰だな」

魔法使い「またそんなこと言って。 いつ来たって満席御礼なここが、廃れることなんてあるわけないじゃないですか」

店主「それも、魔法使いちゃんみたいな常連さんが通ってくれるからだよ」

魔法使い「美味しいものが嫌いな人なんて、この世にいませんからね。 ところで店主さん、ひとつ聞いていいですか?」

店主「ん? どうしたんだい?」

魔法使い「その、他のお客さんの事なので、答えにくければそれでも構わないのですが、
     あちらの奥にいる女性の方って、よくいらっしゃるんですか?」




38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 12:40:30.69 ID:wqn4CCQG0
盗賊「へぇ・・・・・・じゃぁやっぱり、王城にすごい盾があるって噂は本当なのかい?」

客「あぁ、だけどあくまで噂だからなぁ」

盗賊「だけど、火のない所に煙は立たないって言うだろ?」

客「はははっ、違いねぇや!!」



店主「ああ、盗賊のことかい? ここ一週間くらいかな、毎日のように顔を出すが、誰かとつるんでいるのは見たことないなぁ。 ただ・・・・・・」

魔法使い「ただ?」

店主「どうやら、ここの客や商人達から城の話をよく聞いているってのは小耳に挟んだっけか」

魔法使い「そうですか・・・・・・」

店主「それがどうかしたのかい?」

魔法使い「あ、いえ、なんでもないんです。 えっと、ピクルスも貰えますか?」

店主「あいよ! ちょっと待ってな」

魔法使い「(あの人の胸から下げた鍵・・・・・・。 どんな錠でも解除してしまうレアアイテムとそっくり)」

魔法使い「まさか・・・・・・」




39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 12:50:16.06 ID:wqn4CCQG0
―――王城 地下



勇者「む、う・・・・・・」

賢者「ふぉw ようやく気がついたか」

勇者「賢者か。 ここは、どこだ? 暖かいベッドがある部屋には見えんが」

賢者「古今東西、もっとも罪人にふさわしい一室じゃな」

勇者「なるほど、幻覚ではなかったわけだ。 つまりここは・・・・・・」

賢者「端的に言って、牢屋じゃな」

勇者「人間の世界では、英雄に与えられる最高の一室が牢屋なのか? 確かにこれでは、魔族が人間どもと分かり合うことは難しいな」

賢者「いや、これはおそらく大臣の一計じゃな」

勇者「大臣? 王の隣りにいたあいつか」

賢者「うむ、あやつがわしらに一服持ったのじゃ」

勇者「一服持った? そんな事よく気づいたな。 大臣には特に何も感じなかったが」

賢者「そうじゃな。 おかしかったのは、大臣以外じゃ」

勇者「ん?」

賢者「どうやら、まだ消耗し切ったからだが本調子ではないようじゃな」

勇者「全快であるとは言えないな」

賢者「・・・・・・魔族じゃったよ。 うまく擬態しておったが、間違いないのう」

勇者「それはまた大した事だ。 しかし、大臣が操られているという可能性は?」

賢者「そう言った類の魔法にはかかってはおらんかった。 あとは、唇の動きを遠目から見たんじゃ」

勇者「ということは、賢者はわざと捕まったというのか?」

賢者「・・・・・・ふぉっふぉっふぉww」

勇者「爺ぃ・・・・・・」

賢者「だって、どうしてそんなことをするのか、目的が知りたかったんじゃもんww」

勇者「はぁ。 ・・・・・・で、どうするのだ」

賢者「どうやら、ここの牢には特殊な結界が施されているようじゃ。 さっきから試してはいるんじゃが、魔法が使えんのう」

勇者「てことは、賢者はただの年寄りになったわけか」

賢者「ふぉww と、思うじゃろ?」 ニヤリ

勇者「何だその顔・・・・・・策でもあるのか」

賢者「いや、わしの弟子は優秀じゃと言いたいんじゃよ」 パカッ

勇者「・・・・・・靴の踵から、何を出したんだ? 粘土か」

賢者「ふぉっふぉw これを閂周辺と格子に盛り付ける」 ペタペタ

勇者「全く想像ができん。 それがなんだと言うんだ?」

賢者「勇者よ、このマッチで今つけた導火線の先に点火してくれ」

勇者「・・・・・・それはいいが、なぜ両耳を抑えて屈んでいるんだ?」

賢者「ほれ、さっさとやらんかいww」

勇者「はぁ、後でしっかりとした説明を要求するぞ・・・・・・」




40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 13:02:47.98 ID:wqn4CCQG0
―――王城 宝物庫



盗賊「あっれ~? 結局この城も真新しいお宝はなかったか~。 
   ついでにと思ってせっかく一週間も情報集めしたのに。 まぁ時間も時間だし、そろそろ本命にいこうかね~」

魔法使い「さすがに手慣れてるんですね。 最短で宝物庫までたどり着けるなんて」

盗賊「そりゃあ手際の良さが盗賊の・・・・・・っ!?」 バッ

魔法使い「どうしました?」

盗賊「あんた、いったいいつから・・・・・・?」

魔法使い「お城に入る前から、少し離れて着いてきてましたけど」

盗賊「(兵士にすら気づかれなかったあたしが、この女に出し抜かれたっていうの!?)」

盗賊「あんた、いったい何者?」 キッ

魔法使い「ただの魔法使い見習いです」 ニコ

盗賊「見習いにしては、大した肝っ玉じゃない。 王城に忍び込もうなんて。 盗賊の方が似合ってるよ」

魔法使い「そうですか? 初めてだったんですけど、うまく行きました」 テレテレ

盗賊「(何なのこいつ・・・・・・)」

魔法使い「けど、私みたいな素人が、誰にも見つからずにこんな所まで来れてしまえるなんて、あり得るんでしょうか?」

盗賊「ん? そいつはどういうことだい?」

魔法使い「いえ・・・・・・。 あ、そうそう。 私、盗賊さんにお願いしたいことがあってここまで着たんですよ」

盗賊「お願い?」

魔法使い「はい」

盗賊「へ、あたしが見ず知らずのあんたの為に、何かしてあげるような女に見えるってのかい?」

魔法使い「見えません。 けど、そんなに難しい事じゃないんです」

盗賊「いやだね。 こちとら暇じゃないのさ」

魔法使い「せめて聞くだけでも」 オロオロ

盗賊「無理」

魔法使い「この通りです!」 

盗賊「拝まれてもだ~め」

魔法使い「・・・・・・どうしても?」 ウルウル

盗賊「う、ど、どうしても!」

魔法使い「グスっ、聞くだけで、ぅ、いいんです・・・・・・ヒック」 ポロポロ




41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 13:08:57.31 ID:wqn4CCQG0
盗賊「(本当に調子狂うわね・・・・・・)」

盗賊「じゃあ、聞くだけだからね」

魔法使い「本当ですか!? ありがとうございます!」 パァ

盗賊「あんた、泣いてたんじゃ・・・・・・」

魔法使い「いえ、お師匠様が、涙は女の最終兵器と言っていたのを思い出しまして。 すごい威力ですね」

盗賊「(ろくでもない師匠だっていうのはわかった)」

盗賊「で、何だって言うんだい? そのお願いってのは」

魔法使い「私も、途中までご同行させてください」

盗賊「はぁ? あんた、本当に盗賊に趣旨替えしたいのかい?」

魔法使い「ち、違います違います!! ただ、少し気になることがあって・・・・・・途中まででいいんです」

盗賊「ふ、まぁどっちみちつれていく気なんて、さらさらないけどね」

魔法使い「わたし、ここで書物を管理してて、いろんな道を知ってるんです」

盗賊「・・・・・・」 ピクリ

魔法使い「もしもの時、そばにいたら絶対に役に立ちますよ」

盗賊「・・・・・・」 ピクリピクリ

魔法使い「歩いていれば、国外不出の貴重品を思い出すかも・・・・・・」 ボソボソ

盗賊「・・・・・・邪魔すんじゃないよ」




44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:07:55.02 ID:wqn4CCQG0
―――王城 大臣の部屋





*「守備はどうなっている? 大臣よ」

大臣「滞りなく。 薬師に特別に調合させた催眠香で、太陽の光が城を染め上げる頃まで、
   城内の者は誰一人目を覚まさないでしょう」

*「それだけ眠っていれば十分。 国民をその土地から一人も逃すな。 赤子から老人まで、誰一人としてだ」

大臣「分かっております。 もうまもなく、最後の扉が、文字通り開くでしょう」

*「期待しているぞ、大臣。 そなたの働きにかかっているのだ」

大臣「・・・・・・はい」 ジィッ・・・・・・

*「なんだ、そんなに女の魔族は珍しいか?」

大臣「い、いえ。 決してそのような」

*「ふ、まぁよい」


大臣「全ては、側近様の為に」

側近「ひいては、魔王様復活の為に」




45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:15:11.07 ID:wqn4CCQG0
―――王城 廊下

 
 
魔法使い「(やっぱりおかしい。 勇者様とお師匠様が凱旋して、パーティーの一つでもあるはずなのに、
      この静けさ・・・・・・)」

盗賊「お宝お宝~♪」

魔法使い「(ここまで誰にも見つからずに侵入できているのは、盗賊さんの実力だけじゃないみたい)」

盗賊「えぇっと、この次を左に二十七歩。 突き当たりの階段を二回分下がる・・・・・・ふふふ」

魔法使い「(まるで、誰かに誘い込まれているみたい)」

盗賊「待っててよ~。 盗賊様の~♪一世一代の~♪お・お・し・ご・とぉ!」 ~♪

魔法使い「ここまで大声で歌って、気づかれないはずないもの」

盗賊「何か言ったかしら?」

魔法使い「い、いいえ。 何も・・・・・・」

盗賊「あらそ。 っと、ようやく着いたわ。 ここが目的地ね」

魔法使い「ここは・・・・・・この紋章は、大結界の間?」

盗賊「この先に、最っ高のお宝眠っているのよ」

魔法使い「どうして、あなたがその事を?」

魔法使い「(ここの事は、王族でしか知らないはず。 私だって、噂でしか聞いたことがない)」

盗賊「さぁて、 それじゃあこの何でも開けちゃう魔法の鍵で・・・・・・」

魔法使い「待ってください」

盗賊「なによ、これから感動のご対面なのよ。 邪魔しない約束でしょ」

魔法使い「この中に何があるのか、ご存知なんですか?」

盗賊「知らないわよ。 けどスポンサーからの情報は確かだったわね。 いかにも何かありそうな扉だもの!!」

魔法使い「なら、知らないまま、ここから離れましょう」




46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:25:48.52 ID:wqn4CCQG0
盗賊「・・・・・・はい?」

魔法使い「おかしいと思いました。 初めの違和感は、日が落ちたというのに、城に明かりが一つも灯っていないこと。
     そして、偉大なる英雄が帰還したというのに、パーティーが催されず、それどころか、城に人気が全くないこと」

盗賊「知らないわよそんな事。 もう、あんたはあんたで好きにして頂戴。 あたしは勝手にやらせてもらうわ。」

魔法使い「鍵を下ろしてください!!」 スチャ

盗賊「何よそれ、クロスボウ?」

魔法使い「この先にあるアイテムは、誰も干渉してはならないモノなんです」

盗賊「へぇ・・・・・・そう」

魔法使い「存在は知っていました。 けど、国の根幹に触れるようなことは大罪中の大罪です」

盗賊「・・・・・・」

魔法使い「お願いです。 ここで、引いてください」

盗賊「・・・・・・」

魔法使い「盗賊さん」

盗賊「・・・・・・分かった」

魔法使い「あ、ありが・・・・・・」

盗賊「とでも、言うと思った?」

魔法使い「・・・・・・っ」

盗賊「どこの世界に、獲物を前にしてケツを捲くる盗賊がいるってのよ」

魔法使い「盗賊さん!!」 グッ

盗賊「開けようとしたら、それであたしを撃つのかしら?」

魔法使い「はい。 ・・・・・・撃ちます」

盗賊「そうかい。 でもね、あたしも盗賊なんて名乗っている手前、簡単には引けないんだよ!!」

魔法使い「盗賊さ・・・・・・!?」



―――突然、城内に大きな爆発音が轟いた!!




47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:30:14.18 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「えっ、何!?」

盗賊「・・・・・・ふっ!」 バシ!

魔法使い「きゃっ!?」

盗賊「悪いね、お宝があたしを呼んでるのさ!!」

魔法使い「ま、待って!! 盗賊さん!!」



―――盗賊は魔法の鍵を使った!! 光とともに扉の封印が解かれた!!



盗賊「ごめん、もう開けちゃった」

魔法使い「そ、そんな・・・・・・」

盗賊「あれがお宝・・・・・・。 どうやら、オーブみたいだねぇ。 さぁって、お宝を頂戴しようかしら」

魔法使い「させません!!」

盗賊「させてもらっちゃうよ!!」 チャキ

魔法使い「ダガー・・・・・・ですか」

盗賊「ああ。 あたしは今までこいつと一緒にずっとやってきた。 あんた、人とやりあった事は?」

魔法使い「・・・・・・」

盗賊「・・・・・・そうかい」 ニヤリ




48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:34:36.33 ID:wqn4CCQG0
大臣「いえ、そこまでで十分です。 ご苦労様でした、盗賊」



盗賊「ん? スポンサーじゃないか? どうしたってこんな所に?」

魔法使い「・・・・・・え?」

大臣「ようやく最後の門が開いたのでな。 仕上げに参ったのだ。 弓兵達、構え」 スッ スッ スッ ス

盗賊「それって、どういう・・・・・・」

魔法使い「盗賊さん!!」




49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:38:16.93 ID:wqn4CCQG0
―――王城 地下牢



賢者「けほっけほ・・・・・・。 指向性に難アリじゃな」

勇者「・・・・・・っぐ、う」

賢者「無事か勇者よ」

勇者「じ、爺ぃ・・・・・・貴様・・・・・・」

賢者「うむ、どうやら大丈夫なようじゃな」

勇者「大丈夫でたまるか。 爆心地で直撃だ」

賢者「まぁそう目くじら立てるな。 こうして出口も出来たんじゃ」

勇者「貴様とは一度じっくりと話し合う必要がありそうだな。 人間界の常識を掘り下げて」

賢者「ふぉっふぉww またいつか・・・・・・む? 魔力の拘束が解かれたようじゃ」

勇者「牢から出たからであろう」

賢者「そうじゃろうか? それにこれは・・・・・・魔法使いの気配かの」

勇者「なんだ、来てるのか?」

賢者「みたいじゃな。 行ってみるとしよう。 ほれ、この魔法陣に入れ」 ブゥン

勇者「さっきの爆発の件、覚えておくからな」

賢者「まったく、器の小さな男じゃ。 ふぉっふぉっふぉww」 シュイン



―――魔法使いは転送魔法を発動させた!!




50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 16:54:13.78 ID:wqn4CCQG0
―――王城 大結界の間


魔法使い「勇者様!? それに、お師匠様も!?」

賢者「魔法使いよ、一体こんなところで何をしておる?」

勇者「おい、そこの片隅で沈み込んでいるのは誰なんだ?」

盗賊「あたしのお宝・・・・・・あたしのお宝・・・・・・あたしの・・・・・・」

魔法使い「そうです、大変なんです!!」

勇者「どうした?」

賢者「あのねぇちゃん可愛くないかのww」




―――魔法使いは勇者と賢者に事情を説明した。




賢者「大臣が、オーブを破壊したというのじゃな?」

魔法使い「はい。 そうしたら、すぐにいなくなってしまって・・・・・・」

勇者「今日は大臣に引っ掻き回されてばかりだな」

賢者「・・・・・・こいつは、まずいことになったのう」

魔法使い「はい・・・・・・」

勇者「確か、この国のオーブは、一国を覆い尽くすだけ力を持って、魔を退けるオーブだったか。 存在だけは知っていたが・・・・・・」

賢者「さすがは元まお・・・・・・ゲフン。 勇者、博識じゃな」

魔法使い「今頃、モンスターを遠ざけていた結界も消滅していると思います」

賢者「要所には見張り台も簡易的な砦もあるから、早々には騒ぎに並んじゃろう、この国の兵は練度が高いからの」

魔法使い「対モンスターの要が、目的ではない?」

勇者「じゃあ、どうして大臣はオーブを破壊したんだ?」




51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 17:03:45.38 ID:wqn4CCQG0
盗賊「ちょっと、あんた達!」

賢者「おぉww ナイスバディーww」

勇者「立ち直ったか」

魔法使い「ちょっと待っててください盗賊さん。 今重要な話を」

盗賊「いいからこれ見てよこれ!! あたしとアンタらの足元!!」

魔法使い「静かにしてください!! もとはと言えば、あなたが扉を・・・・・・」



―――突如、大結界の間に光が溢れる!!


賢者「む、これは!?」

勇者「赤い光の線? いや、違う・・・・・・」

魔法使い「魔法陣!? どんどん書き足されて大きくなっていく!?」

勇者「トラップか」

魔法使い「いいえ、この術式は違います」

賢者「ふむ・・・・・・魔法使いよ、読み取れるかの?」

魔法使い「これは・・・・・・。 召喚? いえ、呼び寄せる・・・・・・星?」

勇者「魔法使いは本当に何でも読めるのか」

賢者「すごいじゃろ」 ドヤァ

勇者「なぜ貴様がドヤ顔をする?」

魔法使い「川の淵より・・・・・・舞い降り・・・・・・」

賢者「(というか、この術式、魔族のに似ておらんかのう?)」 ヒソヒソ

勇者「(言われてみればそうとも見えるが、少なくとも、我は本当に見たことはない)」 ヒソヒソ

魔法使い「生ある者は、身を捧げ・・・・・・器は・・・・・・!?」





52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 17:09:53.12 ID:wqn4CCQG0
盗賊「ちょっと、顔真っ青にしてどうしたのよ」


魔法使い「そんな!? これは、こんな魔法が!?」

賢者「分かったかの?」

魔法使い「これは、これがもし本当に私の推測通りなら・・・・・・」

勇者「何が起こるんだ?」



魔法使い「あと数時間後に、この国めがけて空から星が降ってきます!!」





53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 17:18:49.84 ID:wqn4CCQG0
盗賊「星? 流星ってこと?」

魔法使い「普通の流星は地表に到達するまでに燃え尽きてしまいますが、
     この魔方陣で引き寄せられている星は、確実に落着します。 そういう魔法みたいです」

賢者「被害は? 推測でいいんじゃが」

魔法使い「私には、見当もつきません。 ですが、もしもこの国の大地にその星が衝突したら、
     恐らくあらゆる生命や建造物、大地を一瞬で吹き飛ばし、後には巨大な渓谷が出来上がるのではないでしょうか」
 
盗賊「・・・・・・」 ゴクリ


賢者「今からじゃと、民の避難も間に合いそうにないのう」

勇者「オーブの守りがなくなったタイミングで魔法陣の発動。 
   国境の兵士たちはモンスターの監視のために動けず、王城内部の停滞により、民への警告は不可能・・・・・・か」

賢者「大臣一人の知恵かは分からぬが、大した作戦じゃわい」

魔法使い「・・・・・・それだけではないのです」

盗賊「え?」

勇者「まだ何かあるのか?」

魔法使い「この魔法陣には、もう一つの術式が組み込まれているんです」

賢者「なんじゃそれは?」




魔法使い「人々の恐怖、憎悪、悲しみといった負の感情を収集し、そのエネルギーで召喚にも近い蘇生術を完成させるのです」




賢者「あまり聞きたくはないが、もしや、その対象とは・・・・・・」


魔法使い「はい、復活の対象は・・・・・・魔王です」




54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 17:42:27.11 ID:wqn4CCQG0
―――魔王城


側近「事は順調に推移している。 魔王様復活も、時間の問題だろう」

大臣「多くの人間が理不尽に死ぬ。 その瞬間に発する負の感情エネルギー。 
   それが魔王様の復活の源となるとは・・・・・・。 まさに、恐怖の顕現であられますな。 一体、どのようなお方なのか・・・・・・」

側近「ふふ、実を言うとな、私も魔王様のご尊顔を見たことはないのだ・・・・・・」

大臣「なんと・・・・・・。 そうでありましたか」

側近「先代の側近が倒れた時、あらかじめ組まれていた魔術によって発動された選定により、ダークエルフとして暮らしていた私はがその力を受け継いだまま継承という形で“自動的に”誕生したのだ。 
   ダークエルフとして暮らしていた記憶はそのままだが、第一声を発する前から、既に私の頭は魔王様を復活させることしかなかった」

大臣「なるほど。 それで、私はお声を駆けていただいたのですね」

側近「魔族は人の意識に干渉する術をいくつも持っている。 中でも、大臣ほど変革を望む人間は他にいなかった」

大臣「あの国は平和すぎるのです。 現国王も歴代の王にひけはとらない平和主義者。 
   しかし、それが他の諸国にも波及し、これまで切磋琢磨していた発展という成長曲線は伸び悩み、いえ、水平飛行しています。 現状の華やかさは、ただの惰性です」

側近「人間は何よりもそれを望むのではないのか?」

大臣「確かに、人々は長きに渡る魔王率いる軍勢との戦いで、平穏を渇望していました。 魔王討伐を果たした事で、それは成就されたと言ってもいいでしょう」

側近「貴様は、そうではなかったと?」

大臣「どれだけ平和な日々が続こうと、それを維持する努力がなければ、国は崩壊します。
   我が国は、絶対防御の守りが存在する故に、危機管理能力がほとんどありません。 それが、唯一の欠点とも言えるでしょう」

側近「確かに、貴国の守りは、我ら魔族にとってのみならず、人間に対しても絶大な力を持っているな」

大臣「王はそれを懸念なされてはいたが、今日まで体制が変わることは無かった」

側近「・・・・・・」

大臣「そんな時、もしも絶対防御をかいくぐる存在が現れたら? 万が一隣国が攻め入ってきたら? 遠征軍が現れたら? 魔物が徒党を組んで襲いかかってきたら?」

側近「対抗すること叶わず、落城するか」

大臣「・・・・・・我が国の問題だけならいいのです。 そうであれば、犠牲は最小限ですみます。
   しかし、安穏とした空気が伝播し、他国の防備をもゆるめてしまうとなれば・・・・・・それはもはや、悲劇ですらない。
   最悪の喜劇です。 人間界最大の敵が破れたとなれば、その勢いも加速する」

側近「だから自国を・・・・・・病の元を絶つというのか。 多くの民の未来と引き替えに」

大臣「人間は、畏怖の対象が居なければ気がゆるみ、精神は弛緩します。 存在すれば、多くの意志は方向性がまとまり、備えることに前向きとなるでしょう」



大臣「人間には、魔王が必要です」




55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 17:47:06.31 ID:wqn4CCQG0
―――王城 大結界の間



魔法使い「多くの人々が亡くなる瞬間に発生する負のエネルギーがどの程度かはわかりませんが、確実に魔王復活のエネルギーは集まると思います」

勇者「・・・・・・」

賢者「(どうした勇者? わしを利用して、また魔王に戻れるとでも思っておるのか?)」 ヒソヒソ

勇者「(ふん。 魔王が復活するとしても、それは我ではない。 そのような器に興味はない)」 ヒソヒソ

賢者「(ふぉっふぉww そうか。 それは何よりじゃ)」 ヒソヒソ

勇者「(賢者?)」 ヒソヒソ

賢者「(倒した矢先にまた復活では、“彼”も浮ばれん)」 ヒソヒソ

勇者「(・・・・・・)」

賢者「魔法使いよ、解呪は出来そうかの?」

魔法使い「お師匠様になら出来るかもしれませんが、私にはマジックボウの為に持ってきた魔石のストックを全て使っても術式の一部を削り取るくらいしか・・・・・・」

賢者「それで十分じゃわい」

魔法使い「え、お師匠様?」

賢者「わしはこれから、大臣を追ってみる」

勇者「どうやって?」

賢者「魔力の残滓がまだ微かに残っておる。 どこに居かは分からんが、それを追えばたどり着くじゃろ。 
   それで、解呪法を聞き出す」

勇者「魔方陣の方は? 放っておくのか?」

賢者「そこは、我が愛弟子がなんとかするじゃろ」





56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:01:00.36 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「わ、私がですか!? 無理ですよ!! というか今言ったじゃないですか! 術式の一部を削るくらいしか出来ないって」 オロオロ

賢者「魔法陣とは、大きければ大きいほど複雑であり、発動までの時間も長い。 そうじゃな?」

魔法使い「それは、そうですけど・・・・・・」

賢者「これだけの規模の魔法陣じゃ、時計のように、歯車を一つ外せば、正常には機能せんじゃろう」

魔法使い「でも、私なんかじゃ・・・・・・」

賢者「何を言うとるか。 愛弟子じゃから信頼できるんじゃよ」

魔法使い「お師匠様・・・・・・」

賢者「わしか魔法使い、どちらかがうまくいけばいいんじゃ。 あまり、肩肘張らずにの」

魔法使い「分かり、ました・・・・・・。 私、やってみます!」

賢者「うむ、その意気じゃ。 で、勇者よ」

勇者「何だ?」

賢者「妨害が入らないとも限らん。 解呪の間、魔法使いを守ってやってくれんか?」

勇者「ほう、お目付け役がの貴様が我を信用するのか?」

賢者「仕方がないじゃろ。 今頼めるのは、お主しかおらん。 それにじゃ」

勇者「・・・・・・?」

賢者「(勇者としての初仕事が、女子を守り抜くことなんて、おいしすぎるじゃろww)」 ヒソヒソ

勇者「(爺ぃ・・・・・・)」

賢者「それに、この善行はポイント高いと思うんじゃよ。 なんせ、一国を救うどころか世界を救うかもしれんのじゃ。
   監視も緩み、一気に枷が外れるんじゃなかろうかの~」

勇者「・・・・・・!? 確かに、言われてみればもっともだ」

魔法使い「監視? 枷?」

勇者「・・・・・・魔法使い」

魔法使い「は、はい」

勇者「貴様は我がこの剣に賭けて全力で守りぬく。 己の責務を果たすがよい」

魔法使い「勇者様・・・・・・」

勇者「(我は絶対に自由になってみせるぞ)」

魔法使い「わ、分かりました。 よろしくお願いします。 勇者様!」





57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:08:40.05 ID:wqn4CCQG0
賢者「じゃあ、よろしく頼むぞい」 ブゥン

勇者「任せろ。 そっちもしっかりやれ」

賢者「うむ。 おっと、そうじゃ・・・・・・。 盗賊のお嬢ちゃん」

盗賊「ん? あたい?」

賢者「おぬにも手伝ってもらうかの」ガシ

盗賊「え!? ちょ、ちょっと待っ・・・・・・」



―――賢者は転送魔法を発動させた!!


勇者「行ったか。 さて・・・・・・ではこちらも。 ハッ!!」



―――勇者は剣で衝撃波を放った!! 大結界の門がバラバラになった!!



勇者「入口を潰しておけば、そう簡単には邪魔も入ってこれまい」

魔法使い「では、私は解呪の準備に入ります」

勇者「ああ。 安心して始めろ」

魔法使い「はい・・・・・・」


―――魔法使いは魔法陣に干渉した!!




58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:11:09.37 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「・・・・・・あ」

勇者「どうした?」

魔法使い「い、いえ・・・・・・その・・・・・・」

勇者「構わん。 言ってみろ」

魔法使い「その、見落としてた術式のトラップに引っかかりました・・・・・・」

勇者「・・・・・・それは、どんなトラップだ? かなりまずいのか?」

魔法使い「解呪しようとするものを排除するために、魔法陣の周囲から・・・・・・」 シュイーン シュイーン シュイーン

勇者「別の魔法陣が・・・・・・次々と・・・・・・?」

魔法使い「モンスターを転送させてくるんです・・・・・・」

勇者「oh・・・・・・」

魔法使い「ご、ごめんなさい!!」

勇者「扉を壊した意味がなくなったが、まぁいい」




勇者「勇者としての初仕事だ。 派手に参ろうぞ!!」




59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:15:19.47 ID:wqn4CCQG0
―――魔王城


側近「む? ・・・・・・ほう」

大臣「どうされました?」

側近「どうやら、魔法陣に干渉してきた輩がいるようだ」

大臣「なんと・・・・・・っ」

側近「案ずるな。 そう簡単に破られるような、生半可な術ではない」

大臣「でしたら、良いのですが」

側近「しかし、この作戦に、万が一があってはならぬ。後顧の憂いは断ってくぞ」



賢者「なら、わしは災いの禍根を断たせてもらおうかの。 ふぉっふぉっふぉwww」




60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:21:45.91 ID:wqn4CCQG0
側近「・・・・・・っ!? 何やつ!?」

大臣「お、お前は・・・・・・!?」

賢者「呼ばれずとも飛び出る天才の具現、賢者じゃ!! ふぉw」

側近「ふん、人間風情がっ。 魔王城に単身乗り込んでくる気概だけは褒めてやろう。 
   しかし、私は今忙しい。 自殺志願なら、私の見えないところで勝手に自決しろ」

賢者「可愛い顔して辛辣じゃのう・・・・・・。 しかし、大臣を探すつもりがいきなり元凶に行き着いた感じじゃな」

大臣「お前達は王城地下の特殊牢に入れておいたはず・・・・・・」

賢者「ふぉっふぉっふぉww その辺は極秘事項じゃ」

大臣「っく、さすがは生ける伝説と言われるだけある」

側近「それで、その生ける伝説とやら。 ここに何のようだ? あいにく人事募集に空きはないぞ」
   
賢者「そう難しいことではないわい。 王城に発動された魔法陣、あれ解除してくれんかのう」

側近「何を言うかと思えば・・・・・・。 いや、あまりに期待通りの言葉だな」

賢者「根が真面目だと捻りを加えるのも難しいんじゃよ。 ふぉww」

側近「当然、私が何と答えるかも分かっているのであろう?」

賢者「そうじゃの~。 わしも荒事は苦手じゃから、出来ることなら前向きな回答を期待したいんじゃが・・・・・・」

側近「ふふふ、私は荒事が大好きだ!!」 キィィン!!


―――側近は魔力の塊を賢者に向けて放った!! 賢者の居た場所に黒煙があがる!!




61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:29:08.60 ID:wqn4CCQG0
側近「消し飛んだか・・・・・・。 肩慣らしにもならない。 所詮人間は人間か・・・・・・」

大臣「しかし、魔王様を倒したパーティーの一員でもありますが・・・・・・」

側近「ならば、それだけ先の魔王様が惰弱だったのだろう。 此度の作戦で誕生する魔王様の器も魂も、歴代最強を顕現させて見せようぞ!! 
   はぁっはっはっはっはっは!!」

大臣「そう、なのでしょうか・・・・・・」

側近「この分だと、魔界を蹂躙した勇者というのも、そう大したものではなさそうだな。
   魔王様復活の前に、私が始末しに出向こ・・・・・・っ!?」


賢者「ふぉw 先の魔王よりは、魔法のセンスがいいのう。 魔力の収束にキレがある。 これはまだまだ伸びるのうww」



―――煙が吹き飛び その中から賢者が現れた!!



側近「・・・・・・無傷だと?」

賢者「じゃが、密度がまだまだ半端じゃな。 及第点くらいは与えてやるかの」

側近「・・・・・・ふ、ならば何度でも食らわせてやるわ!! この老いぼれめがぁぁぁ!!」 キィィン!!


―――側近の眼前に 強大な魔力が集まっていく!!


賢者「・・・・・・小娘が」 ギィィン!!


―――賢者の眼前に 膨大な魔力が収束していく!!


賢者「“あの青年”の決意を踏みにじるような行い、決して見逃しはせぬわ!!」




62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:35:50.99 ID:wqn4CCQG0
―――王城 大結界の間




勇者「ふっ!! はぁ!! ちぃ!!」

―――勇者の攻撃!! 

魔物Eを倒した!
魔物Fを倒した!
魔物Gを倒した!

魔法使い「・・・・・・っ。 ここを・・・・・・魔力の流れが・・・・・・」

勇者「ふ、間断無く出てくるとは、っく! 良く出来た術式だ」

勇者「(それに、徐々に召喚される魔物の強さが上がっていくとはな)」

魔法使い「勇者様、大丈夫ですか?」

勇者「気遣いは無用だ。 貴様は自分の仕事に集中しろ。 式を崩す時間が早ければ、我の休まる時間も早まる。 期待しているぞ」

魔法使い「・・・・・・っ。 はい!! 頑張ります!!」

勇者「ふん、その意気だ。 さぁ、まだまだ夜は長いぞ」

勇者「(こやつら・・・・・・己の意識なく、ただ召喚されるだけの傀儡というだけまだ救われるな。 わが同胞達よ)」 

魔法使い「(そちらはどうなっていますか・・・・・・お師匠様)」




63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:48:40.39 ID:wqn4CCQG0
―――魔王城



側近「そんな・・・・・・がはっ。 馬鹿な・・・・・・」 ガクッ

大臣「これ程か、よもや、人の身で・・・・・・」

賢者「終わりか。 お主の腕で、よく戦ったほうじゃ」

側近「お前、本当に、人間か・・・・・・?」

賢者「人のままで歩もうとすれば、どこまでも行ける。 あきらめなければ、どこまでも、どこへでも」

大臣「・・・・・・!?」

賢者「わしは人に恵まれた。 道をそれそうになった時、常にそこには人がいた。 だから、高みに至れる事が出来た」

大臣「あ、あなたは・・・・・・」

賢者「国を思うが故に、道を誤ることもある。 次からは、身近にでもなくていい、いい酒場にでも、愚痴をこぼせる友を作っておくことじゃ」

大臣「あなたは・・・・・・どうして・・・・・・」

賢者「なに、人より長く生きていると、見えるものも増えてくるもんじゃよ。 ふぉww」

大臣「それでは、私の事も・・・・・・」

賢者「まずは、先走らず、人に相談することから初めてはどうじゃ? それができるのも人間じゃてな」

大臣「・・・・・・私は、私は・・・・・・っ」

賢者「さて、ではダークエルフのお嬢さんに、魔法陣の解除方法を吐いてもらおうかのう」

側近「っく・・・・・・っ? そうだ!!」 ガバッ グイッ

大臣「んっ!? っぐ!? 側近様、何を・・・・・・!?」


―――側近は大臣の首に 鋭利な爪を食い込ませた!!




64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 18:58:08.65 ID:wqn4CCQG0
側近「少しでもおかしな真似をしたら、こいつをの喉を掻き斬る!! おとなしくしていることだな!!」

大臣「がっ、ぁっ・・・・・・」

賢者「往生際が悪い奴じゃ。 もう完全にわしのグレイトな勝利で決着じゃろう」

側近「黙れ!! こんな、こんな巫山戯たことがあるか!! 私は認めないっ。 絶対に認めない!!」

大臣「に、人間を・・・・・・裏切っ、た私がっ、人質になど・・・・・・」

側近「貴様も死にたくなければ口を噤んでいろ」 グイッ!

大臣「ぐっ・・・・・・!?」

側近「あと少しで復活なさるのだっ。 こんなところで終わってたまるか!!」



賢者「(さて、ポーカーフェイスを決めてはおるが、わしも結構魔力を消耗してくたくたなんじゃけどなぁ)」



賢者「まぁ、頃合じゃろうな。 ほいっ!!」ヒュン


―――賢者は持っていた杖を頭上に放り投げた!!


側近「余計な真似はするなと・・・・・・なにっ!? ぐあ!?」 バシッ!!



盗賊「悪いね、気配を消すのは職業柄得意なんだ。 人質は返してもらうよ」


賢者「ナイスじゃ盗賊のお嬢ちゃん!!」 ダッ!


―――賢者は一瞬にして側近との距離を詰めた!!


側近「っく、しかし! 杖のない貴様に、魔法は使えまい!!」

賢者「そんなもんいらんよ」 スッ

側近「・・・・・・っ!? がはぁ!!」 ドン!!


―――賢者は震脚で地面を割り、側近に発勁を叩き込んだ!!




65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/03/28(水) 19:01:51.82 ID:wqn4CCQG0
側近「な・・・・・・何・・・・・・が・・・・・・?」

賢者「わしは、賢者になる前は武闘家だったんじゃよ。 こっちもまだまだ現役でいけそうじゃの。 ふぉっふぉww」

側近「はっ・・・・・・けい・・・・・・だと?」

賢者「(足の骨にヒビ、あと肩が外れたかのぅ・・・・・・。 じゃが、それを顔には出せんわい)」

賢者「そっちはうまくやっておるかのう? 勇者、魔法使いよ・・・・・・」




67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 19:22:51.79 ID:41o8uxTDO
賢者色々凄過ぎww

68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/28(水) 20:07:11.85 ID:2E9b6mUqo
賢者ぱねぇww




69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:12:38.66 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間


魔法使い「もう少しです勇者様! もう少しだけ頑張ってください!!」

勇者「了解した。 敵が複数のドラゴンになってきたあたりで手間が増えたが、この調子なら大丈夫だ」

魔法使い「ストックしていた魔石も一つを残して終わりそうです」

勇者「ふ、賢者が認めるだけはあるな。 ハァァ!!」


―――勇者の攻撃!! ドラゴンは大きな音を立てて倒れた!!


魔法使い「勇者様も、剣戟だけでここまで・・・・・・。 凄いです!」

勇者「あぁ。 だいぶ馴染んできたところだ。 まだまだいけるぞ」

魔法使い「あと・・・・・・少し・・・・・・。 これが終われば、私も加勢に・・・・・・」



―――突然 魔法陣の一部が輝き出す!!




70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:19:23.78 ID:wqn4CCQG0
勇者「もう終わったのか? 仕事が早いな」

勇者「(魔力を持たぬ人間が、魔方陣を無力化する・・・・・・か)」

魔法使い「・・・・・・ぇ?」 ポカーン

勇者「・・・・・・魔法使い?」

魔法使い「まだ・・・・・・終わっていません・・・・・・」

勇者「・・・・・・何?」

魔法使い「あともう少しだった。 けど、まだ終わってない・・・・・・。
 そんな・・・・・・。 流星の時間すらまだなのに・・・・・・」

勇者「まさか、またトラップか?」

魔法使い「いえ、これは・・・・・・術式の一部が正常に発動しています・・・・・・ここの術式は・・・・・・え、そんな・・・・・・」 ブルブル

勇者「どうした?」

魔法使い「・・・・・・やられ、ました。 全て、私の、責任です」 ガタガタ

勇者「しっかりしろ魔法使い!! 一体何がどうしたんだ!!」

魔法使い「は、初めのトラップに掛かった時から・・・・・・もうすでに・・・・・・」

勇者「落ち着け、落ち着くんだ。 っ!? オォ!!」 ズバァ!


―――勇者の攻撃! ドラゴンは壁に吹き飛ばされた!!


魔法使い「勇者様、魔王が・・・・・・魔王が・・・・・・復活します・・・・・・」




71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:29:17.23 ID:wqn4CCQG0
―――魔王城


側近「く、くくく。 はっはははは・・・・・・」

賢者「む?」

賢者「何を笑っておる?」

側近「いや、魔法陣のトラップに引っかかった奴、お前の仲間だろう? 思いの外、随分がんばってくれたようだ。 何体魔物をけしかけても倒せそうにもないよ くくく」

賢者「そうじゃろう? 何せ勇者じゃからな。 そう簡単にはくたばらんじゃろうて」

側近「通りで・・・・・・。ふふ、私でさえ手を焼く大型のドラゴン級でさえ、何体もほふられているみたいだよ。 もう完敗さ・・・・・・」ニヤニヤ

賢者「なら、もういいじゃろ。 そろそろ魔法陣を解除してもらえんかのう?」

賢者「(何じゃ、何を狙っておる・・・・・・?」

側近「でもね、そうやって何体も、何十体も何百体も倒してくれたおかげで・・・・・・」



―――突然 側近の足下に巨大な魔法陣が現れた!!




73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:36:45.37 ID:wqn4CCQG0
側近「最低限のエネルギーが集まった!!」

盗賊「えぇ!?」

賢者「なんじゃと!?」

側近「本当によくやってくれたよ!! 最高の勇者様だ。 私たちが同じ事をしようとしても、同族からの反発でこうはならない。 
   無差別に、一瞬で、慈悲無く大量に殺しまくる勇者様でないと出来ないよ、これは!!」

賢者「(まずい、復活を止めようにも、それだけの魔力が残っておらん・・・・・・。 盗賊と大臣だけでも転送魔法で・・・・・・)」

側近「さぁ、あなたを滅ぼし、憎き人間に復讐を果たす時です! 魔王様、今こそ我らの元へ顕現なさいませ!! 復活なさいませ!!」


―――魔法陣が一段と輝きだす!!


賢者「っく・・・・・・、盗賊のお嬢ちゃん!! 大臣と一緒に逃げるんじゃ!!」

盗賊「あ、あんたはどうすんのよ!?」


―――賢者は転送魔法を発動させた!!


賢者「(もう二人分を送るくらいしか魔力がないんじゃ!)」

賢者「後から行くわい! 頼んだぞ!」

盗賊「わ、わかった!!」 シュン!




74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:47:53.79 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間



盗賊「わわわ・・・・・・!」 シュン

大臣「っく・・・・・・!」 シュン

勇者「貴様達、無事だったか」

大臣「・・・・・・」

勇者「死に損なったか。 まぁ、挽回できるチャンスをもらったと思え」

盗賊「こっちは、大丈夫なの?」

勇者「ああ、魔法陣が光った後、魔物の出現が無くなった」

魔法使い「あ、あの、お師匠様は?」

大臣「すぐに、来るとは言っていたが・・・・・・」

盗賊「そ、そうだっ! 大変なんだよ!! 魔王が復活しちまうんだよ!! あのじいさん、先にあたし達だけ逃がしたんだ!!」

魔法使い「そんな・・・・・・まさか・・・・・・お師匠さま」 ポロポロ

勇者「そう悲観するな、魔法使い」

魔法使い「勇者様・・・・・・」 グスッ

勇者「あの爺ぃがそう簡単にくたばるわけがないだろう。 今は、信じて待っているんだ」

魔法使い「ですがっ!」

勇者「世界最強の“二人”からお墨付きをもらっているんだ。 大丈夫だ」




76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 13:59:03.50 ID:wqn4CCQG0
―――魔王城


賢者「(かつて、ここまでグレイトな窮地に陥ったことがあるだろうか?)」


―――魔法陣からでる粒子が人型をなしていく!!


賢者「(ふぉっふぉっふぉww やばすぎじゃなww 終わったかもww)」


―――光が収まり 漆黒のローブを纏った魔王が現れた!!



魔王「・・・・・・」

側近「おお!! 魔王様!! 復活おめでとうございます!!」

賢者「なんと、いうことじゃ・・・・・・」

賢者「(空気が帯電するほどの魔力、間違いなく魔王じゃ)」

側近「(素晴らしい。 想像以上の力です、魔王様!! これなら人間共も、この忌々しい老いぼれ賢者も、一瞬にして消し炭だ!!)」

魔王「・・・・・・」

側近「私は側近と申します、あなた様の片腕であり、補佐をする者です。 お見知りおきくださいませ」

魔王「・・・・・・」

賢者「(う、動けん・・・・・・っ。 今少しでも動いたら殺られる」 

側近「魔王様、その賢者は我々の未来に仇なす存在です。 おかしな考えを思いつく前に、灰塵へと帰しましょう」

賢者「ぐぅ、これ、までか・・・・・・」

側近「くくく、さらばだ、賢者!!」

魔王「・・・・・・」

側近「・・・・・・?」



―――魔王の間に静寂が訪れた。




77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 14:25:31.40 ID:wqn4CCQG0
魔王「(・・・・・・)」 

賢者「(・・・・・・)」

魔王「(・・・・・・賢者)」 ヒソヒソ

賢者「・・・・・・ん?」

側近「(魔王様? 老いぼれの目前で足を止め、一体何をしておられるのか?)」

魔王「(・・・・・・えっと、これ、どういう事? どういう状況?)」 ヒソヒソ

賢者「・・・・・・? 何を言っておるんじゃ?」

魔王「(・・・・・・俺、確かに賢者に消滅させてもらったよな?)」 ヒソヒソ

賢者「・・・・・・!?」

側近「魔王様? 如何なされました?」

魔王「(あそこの際どい服着た超絶美人誰? 知り合いか?)」 ヒソヒソ




79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 15:15:45.54 ID:wqn4CCQG0
賢者「なんと、このような事が・・・・・・奇跡がダースで送られたかのようじゃ」

側近「まさか、復活したばかりでお加減でも悪いのですか?」

魔王「(魔王って言ってるけど、それ俺の事だよな? 復活とか・・・・・・何? 俺、生き返った的なSomething?)」 ヒソヒソ

賢者「(・・・・・・YESww)」 ヒソヒソ

魔王「(・・・・・・なんだってそんな事に? 全然状況がつかめないんだけど?)」 ヒソヒソ

賢者「(実は今、お主が死んでおった間に王国が吹っ飛びそうなんじゃよ。 言いたいことは色々あるじゃろうが、
   今は何も聞かずに、あそこにいる側近のお嬢さんに、魔方陣を解除するように頼んでみちゃくれんかのう?)」 ヒソヒソ

魔王「(マジかよ。 そりゃまたぶっ飛んだ話だな)」 ヒソヒソ

賢者「(ふぉっふぉww)」 ヒソヒソ

魔王「(いや、まぁ、聞くのはいいけど・・・・・・大丈夫なのか? 初対面だぜ?)」 ヒソヒソ

賢者「(なぁに、今のお主は魔族の頂点に君臨する魔王じゃ。 いけるじゃろww)」 ヒソヒソ

魔王「(かなぁ?)」 ヒソヒソ

賢者「(さぁさぁ・・・・・・ww)」 ヒソヒソ




80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 15:34:55.56 ID:wqn4CCQG0
側近「魔王様・・・・・・?」

魔王「・・・・・・ゴホン。 あぁ、君、側近て言ったっけ」 クルッ

側近「あ、は、ははぁっ!!」 ドクンッ

側近「(な、何だ? 魔王様のお顔を見た瞬間・・・・・・いや、瞳を覗かれた瞬間に、む、胸が・・・・・・」 ドキドキ

魔王「君が、俺を復活させたのかい?」

側近「作用でございます!!」

魔王「そうか。 それは、その・・・・・・」

側近「す、全ては魔王様のためにおこなったこと。 何も、お気になさらず」

魔王「あ、いや・・・・・・うん。 まぁ、ありが、とう?」

側近「っ!? も、勿体無きお言葉っ。 私は、感無量でございます!!」 ドキドキ

魔王「そ、そう?」

側近「はい!」 

魔王「(どういう事? なんでこんなに素直なのこの娘?)」 ヒソヒソ

賢者「(ふぉっふぉw もしかしたら、魔王が持つ魅了の魔眼に勇者特有のカリスマ補正でも掛かっているんじゃないかの?
   さっきからお嬢ちゃん、顔真っ赤じゃww)」 ヒソヒソ

魔王「で、さ・・・・・・側近。 魔法陣? それ発動してるんだよね?」

側近「はっ! 魔王様が復活なされたとはいえ、オーブの力が失くなったこの好機!
   人間共を恐怖のどん底に叩き落とすため、今も発動中です」

魔王「それさ、解除してくれない?」

側近「え!? な、何をおっしゃられますか!? そんな事・・・・・・」

魔王「ダメか?」 キラリ

側近「・・・・・・っ!?」 ドックン

側近「い、いえ、ダ、ダメというか・・・・・・な、何故そのような事を?」

魔王「それを言う必要が、魔王の俺にあるのかい?」 キラキラ

側近「・・・・・・」ボン!

側近「その、わた、しは・・・・・・」

魔王「俺は復活したばかりだ。 今は人間どものことより、身近にいる君のことを知りたい」

側近「・・・・・・っ」 バタリ


―――側近は倒れた!!




82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 15:57:35.69 ID:wqn4CCQG0
魔王「あれ?」

賢者「やりすぎじゃ!! このジゴロww 倒してどうする!!」

魔王「知るか!! 勝手に生き返らされてこっちだってまだテンパってるんだ!!」

賢者「いいから早く起こせ!! ローブのフードを被っておけば目を隠せるじゃろ!」 バサリ

魔王「だぁぁもう!! 俺の死んだ時の覚悟を返せ!!」




83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 16:07:02.13 ID:wqn4CCQG0
―――数分後



側近「分かりました。 これより魔方陣を解除します」

魔王「ああ、頼む」

賢者「ふぉっふぉww」

側近「あの、そこにいる賢者は・・・・・・」

魔王「今は、君のことしか見えないな」

側近「は、はい! 魔王様!」 ///

賢者「早くせんかww」


―――側近は全身から魔力を解き放つ!!


側近「・・・・・・あ、あれ?」

魔王「どうした?」

側近「お、おかしいんです。 解呪の念を送ったのに・・・・・・流星落下の術式が外れません」

魔王「どういうことだ?」

側近「わ、分かりません。 こんなこと初めてで・・・・・・。 一部でも術式を改ざんしない限り、
   誤作動なんて起こるはずないのですが・・・・・・」

賢者「・・・・・・あ」




85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 16:42:42.87 ID:wqn4CCQG0
魔王「どうした賢者?」

賢者「・・・・・・ま、まぁそれはこっちで何とかしよう! ふぉっふぉww」

魔王「何とかって・・・・・・大丈夫なのか?」

賢者「わしを誰だと思うておる。 問題なしじゃ!!」

魔王「・・・・・・本当は?」

賢者「・・・・・・ふぉww」

賢者「(まぁ、せっかく生き返ったんじゃ。 お主は魔族のこと、頼むぞよ。 お主が魔王をやっておれば、そうそう大きな戦も起こらんじゃろう)」 ヒソヒソ

魔王「(ああ、まぁこうなっちまったら仕方ないよな。 やってみるよ。 神や精霊の束縛がないだけまだ自由だし、すぐそばには美人もいるしな)」 ヒソヒソ

賢者「(ふぉw 羨ましいのうww)」 ヒソヒソ

魔王「(これぐらいの特典がないとやってられねぇよ)」 ヒソヒソ

賢者「(・・・・・・そうじゃな。 わしも、友を二度殺せるほど、タフじゃないわい)」 ヒソヒソ

魔王「爺さん・・・・・・」

賢者「ふぉっふぉww やっぱり、生きてるってことはいいことじゃてw」

魔王「・・・・・・そうだな。 ほら、手を出してくれ」 スゥ

賢者「む?」 スゥ

魔王「ちょっと魔力を持て余してるんだ。 分けてやるよ」 ィィィン

賢者「おお! すまんのうww」ィィィン


―――賢者の魔力が回復した!


賢者「それじゃ、わしは戻るかの。魔力も回復したしww」

魔王「わかった。 たまには顔出してくれよ」

賢者「うむ!! またの!」 ブゥン


―――賢者は転送魔法を発動した!!


側近「魔王様は、あの賢者とお知り合いなのですか?」

魔王「・・・・・・ああ。 前世でな」




86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 16:53:04.68 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間


賢者「ふぉっふぉっふぉww ただいまじゃ!」

魔法使い「お、お師匠様!!」 ポロポロ

賢者「おお、若い子のハグは最高じゃのww」 

勇者「ふん、何の心配もしていなかったがな」

魔法使い「お怪我は?」

賢者「五体満足、五臓六腑問題無し!!」

魔法使い「よかった・・・・・・」

盗賊「それで爺さん、魔王はどうなったんだい?」

魔法使い「そ、そうです! 復活してしまったのですか?」

賢者「復活はしたが、問題はない。 わしがなんとかしておいたww ふぉっふぉっふぉっふぉww」

盗賊「冗談だろ!? 爺さんどんだけだよ!?」

魔法使い「す、凄いですお師匠様!!」

勇者「・・・・・・」




87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 17:06:26.07 ID:wqn4CCQG0
賢者「ふぉっふぉっふぉ・・・・・・。 しかしの、まだ問題は残っておる」

魔法使い「どうしたんです? 急に真面目な顔になって」

賢者「わしはいつでも真面目じゃww」 キリッ

勇者「いいから続けろ爺ぃ」

賢者「うむ。 魔王復活の方は確かになんとかなった。 しかしじゃ、流星の方はどうにもならんかった」

魔法使い「え、ええぇぇぇぇ!?」

盗賊「ダメじゃん!! ヤバすぎるじゃん!!」

大臣「・・・・・・っ」

賢者「・・・・・・そこでじゃ、魔法使いよ」

魔法使い「え!? あ、はい!」

賢者「お主なら、どうする?」

勇者「ほう・・・・・・」

魔法使い「わ、私ですか!? 私にはとても・・・・・・」

賢者「お主の万物を読み解く能力なら、この先のより良き未来をも読めるはずじゃ。 
   その知恵を、貸してくれんかのう?」

魔法使い「私の・・・・・・能力」

賢者「頭の回転だけなら、お主はわし以上じゃ。 自信を持ってよい」

魔法使い「お師匠様・・・・・・」

賢者「ふぉっふぉww」



魔法使い「・・・・・・十分程、時間を下さい。 私に出来うる最高の策を考えてみせます」




88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 17:16:37.69 ID:wqn4CCQG0
賢者「うむ。 期待しておるぞ」

勇者「(賢者)」 ヒソヒソ

賢者「(なんじゃ?)」 ヒソヒソ

勇者「(復活した魔王はどんな奴だった)」 ヒソヒソ

賢者「(ふぉっふぉw そんなに知りたいか?)」 ヒソヒソ

勇者「(元魔王として、興味はある)」 ヒソヒソ

賢者「(なら、今の問題を解決したら、会わしてやるわい)」 ヒソヒソ

勇者「(いや、我は別に・・・・・・)」 ヒソヒソ

賢者「(遠慮するでないわいww)」 ヒソヒソ




89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 17:23:32.56 ID:wqn4CCQG0
―――十分後



魔法使い「お待たせしました」

勇者「それ程でもない」

大臣「そろそろ、王城の人々が目覚める頃だ」

賢者「皆が眠っている間に事を終わらせられたらいいんじゃがのw」

盗賊「で、どんな作戦なのさ?」


魔法使い「はい・・・・・・。 色々と考えたのですが、私にはこの方法しか思いつきませんでした」

賢者「お主がそこまで考えて出した答えなら。 それ以上のモノを思いつける人間はどこにもおらんよ」

魔法使い「・・・・・・はい」

勇者「時間も限られている。 言ってくれ」

魔法使い「すぅ・・・・・・ふぅ・・・・・・。 では、流星をどうするかですが」

盗賊「まずはそこよね」




90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 17:37:30.95 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「端的に言ってしまえば、受け止めるしかありません」

盗賊「・・・・・・は?」

勇者「受け止める、か」

魔法使い「現実的に考えれば、大質量の流星を受け止めるのは不可能です。 しかし、それを可能とするアイテムが、偶然にもこの城には眠っています」

大臣「・・・・・・まさか」

魔法使い「はい。 あらゆる攻撃を跳ね返す“伝説の盾”。 これがこの作戦の要です」

大臣「しかしあれは、王族のものにしか所在を明かされていないアイテム・・・・・・」

盗賊「はぁ・・・・・・。 いっくら宝物庫を漁っても見つからないわけよね」

魔法使い「私は、伝説の盾が保管されている場所を知っています」

盗賊「えぇ!?」

大臣「なんと・・・・・・」

魔法使い「いえ、正確には、分かってしまったというか。 ここで働いていた時に、古い文献や王城の見取りで・・・・・・」

勇者「天才を通り越しているな」

賢者「さすが愛弟子ww」

魔法使い「そして、盾を手に入れたら・・・・・・」 チラ

勇者「・・・・・・何だ? どうした?」

魔法使い「・・・・・・今、この中で流星を受け止め、跳ね返せるだけの能力があるとしたら・・・・・・」

勇者「まぁ、我であろうな」

魔法使い「・・・・・・はい。 勇者様に、装備していただき、流星を受け止めていただきます」

勇者「分かった」




91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 18:00:22.28 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「・・・・・・っ 即答、なんですね」

勇者「ふ、それしかないのであろう?」

魔法使い「・・・・・・はい」

勇者「ならば、作戦立案者が胸を張らずにいてどうする。 そんな事では、周りが不安になるであろう」

盗賊「そうよ! あんたがビビッてちゃしょうがないでしょうが」

魔法使い「・・・・・・」 コクリ

賢者「わしはどうするかの?」

魔法使い「お師匠様は、流星と勇者様の衝突の余波から、お城を出来る限り守ってください。
     かなりの被害が出るでしょうが、まるごと吹き飛ぶよりはましかと。 まだお城には人が沢山いますし」

賢者「ふぉっふぉww 了解じゃ」

魔法使い「盗賊さんは、私と一緒に伝説の盾を取りに行きますよ」

盗賊「え、私も!?」

魔法使い「この作戦がうまくいかなかったら、盗賊さんも死んじゃうんですよ?」

盗賊「うぅ、もう! 分かったよ!! やりゃあいいんでしょ!!」

大臣「・・・・・・」

魔法使い「大臣さんは退避していてください。 きっと、ここは危ないですから」

大臣「私は・・・・・・」

魔法使い「もう、それほど時間は残されていないでしょう。 皆さん、自分に出来ることを精一杯やりましょう!!」

勇者「うむ」

賢者「ふぉっふぉww」

盗賊「よぉっし!!」


魔法使い「・・・・・・では、行動、開始です!!」




―――魔法使い 盗賊 は大結界の間から飛び出した!!




92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/03/29(木) 18:22:49.71 ID:wqn4CCQG0
賢者「ふぉw 待機組は時間を持て余すわい」

勇者「賢者、天井を壊しておいてくれるか?」

賢者「ほう、なぜじゃ?」

勇者「なに、これから我が弾き飛ばす小石がどこから来るのか、方角と距離だけでも目視しておこうと思ってな」

賢者「ふぉっふぉっふぉww おまかせじゃww それ!」 ドォン!!


―――賢者は天井に向けて魔力を解き放った!! 天井は瓦解し、白み始めた空が見えた!!


大臣「(何という攻撃力!? 地下のココから地上にかけて、何メートルあると思っているんだ・・・・・・)」

勇者「・・・・・・まったく。 勇者となってまだ一日も経っていないのに、大した仕事量だな」

大臣「え?」

賢者「ふぉっふぉww 気にするでないわいw」




93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 18:29:15.06 ID:wqn4CCQG0
―――王城 深部 



盗賊「ねぇ、魔法使い」 タッタッタ

魔法使い「はい? なんですか?」 タッタッタ

盗賊「あんたさ、この一件が片づいたらあたしと組まない?」 タッタッタ

魔法使い「え、どうしてですか?」 タッタッタ

盗賊「だって、あんたの能力とあたしの鍵があれば、どんな場所にあるお宝でもイージーモードでゲットできるじゃない」 タッタッタ

魔法使い「・・・・・・確かに、そこにはきっと、誰も見たこともないような太古の文献とかも眠ってそうですね」 タッタッタ

盗賊「そうよ! あたし達二人なら、この世に手には入らないアイテムはないわよ!!」 タッタッタ

魔法使い「けど、お断りします。 先約がいるので」 タッタッタ

盗賊「え!? 誰よそれ! あたしよりもすごい奴なの!?」 タッタッタ

魔法使い「すごいも何も、これからこの国を救って頂く方ですよ。 あ、そこ左です」 タッタッタ

盗賊「まさか、それって・・・・・・」 タッタッタ




94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 18:37:59.81 ID:wqn4CCQG0
―――王城 廊下



兵士「う、うぅ・・・・・・」

兵士長「む、・・・・・・これは、どうしたことだ?」

兵士「突然、急激な眠気が・・・・・・」

兵士見習い「・・・・・・ふぁ。 おふぁようございまふ」

兵士「っく、ほら、見習い! しゃきっとしろ!!」バシン

兵士見習い「は、はいぃぃぃ!!」

兵士長「皆同時に、という事は・・・・・・外部からの攻撃かっ」

兵士「一体、どれ位寝ていたのでしょう?」

兵士見習い「へ、へ・・・・・・へっくち!!」

兵士長「こんな廊下で・・・・・・まだ、だるさが・・・・・・む?」

兵士「どうしました?」

兵士見習い「・・・・・・zzz」ゴロリン

兵士長「・・・・・・」

兵士長「・・・・・・兵士、人を集めろ」




99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 22:27:37.28 ID:wqn4CCQG0
―――王城 深部


盗賊「いや~、人ん家のタンスから薬草盗むより簡単にゲット出来ちゃったなぁ・・・・・・ちょっと拍子抜け」

魔法使い「トラップの有りそうなポイントは全部回避してきましたからね。
     最後の扉も、盗賊さんの鍵で簡単に開きましたし。 って、それより大事に扱ってくださいよ」

盗賊「分かってるって。 にしてもさ」

魔法使い「・・・・・・?」

盗賊「う~ん、やっぱり欲しいなぁ。 その能力」

魔法使い「他をあたってください」

盗賊「ねぇ、ちょっとマジで考えない?」

魔法使い「だから、もう先約がいるんですってば」

盗賊「お願い!」

魔法使い「ダメです」

盗賊「そこをなんとか!!」

魔法使い「できません」

盗賊「それを曲げて!!」

魔法使い「曲がりません」

盗賊「もう!! こんなに頼んでるのに!!」

魔法使い「だから!!いくら頼まれてもダメなんです!! 私は勇者様と行くんです!!」

盗賊「どうしてよ!! 絶対私のほうが・・・・・・」



兵士長「貴様ら!! そこで何をしているーーーーーーっ!!」

兵士「大人しくその場で両手を頭の上に組んで伏せるんだ!!」

兵士見習い「早くしろ~!」



―――兵士長、兵士、兵士見習いが現れた!!




100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 22:34:41.74 ID:wqn4CCQG0
兵士長「城内の異変・・・・・・貴様らが元凶か!!」

兵士「一体何が目的だ!!」

兵士見習い「へっくしゅん!!」



盗賊「あ、あんたが煩くしてるから見つかっちゃったじゃない!!」

魔法使い「それは盗賊さんのせいです!!」


 
兵士長「っ!? おい、貴様が抱えているものは何だ!?」

兵士「ゆっくり下におろすんだ!!」

兵士見習い「妙な真似はするな~!!」



盗賊「ど、どうすんのよ!! このままじゃ捕まっちゃうわよ」

魔法使い「・・・・・・やむを得ません」


―――魔法使いはマジックボウに魔石を装填した!


兵士長「なんだそれは!?」

盗賊「ちょっとあんた!?」

魔法使い「行ってください・・・・・・盗賊さん」

兵士「各所に兵を配備している。 無駄な抵抗はやめろ!!」

魔法使い「・・・・・・っ!」 ダァン!!


―――魔法使いは兵士長の足元にマジックボウを放った!


兵士長「!? 奇っ怪な魔法を使う!?」

魔法使い「盗賊さん!!」

盗賊「・・・・・・もう!! 簡単に捕まるんじゃないわよ!!」 シュン!

兵士「は、早い!?」

兵士見習い「き、消えました!?」




101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 22:43:04.47 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間




勇者「・・・・・・遅いな」

賢者「うむ、手こずっておるのかのう?」

勇者「・・・・・・流星がうっすらとだが、もう肉眼で確認できるぞ」

賢者「あれか。 ど~れ・・・・・・。 なるほどのう。 もう、五分もないじゃろう」

勇者「様子を見てくるか?」

賢者「ふぉっふぉww それは無理じゃ。 わし、こう見えて今フルパワーで城に防御結界を貼る準備をしておるからのww 一歩も動けんww」

大臣「・・・・・・」

賢者「大臣もあまり動くでないぞ。 結界から出たら余波で吹っ飛ぶぞい」

大臣「・・・・・・分かった」

勇者「・・・・・・なら、俺が見てくるか?」

賢者「ふぉww もっとだめじゃ。 どこにおるかも分からんのに、そんな事に時間をかけるわけにもいくまいて」

勇者「・・・・・・」

賢者「流星は間違いなく魔法陣に向かってくる。 なら、お主は二人を信じて待っておれ」

勇者「・・・・・・」

賢者「万が一、二人が戻らなかった場合・・・・・・」

勇者「戻らなかった場合・・・・・・?」

賢者「・・・・・・力技でなんとかならんかのう?」

勇者「なってたまるか・・・・・・ん?」


―――空気が振動しだした! 見上げれば、流星の輪郭がはっきりと見え始める!!


勇者「・・・・・・なるようになるか」




102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 22:48:27.53 ID:wqn4CCQG0
―――城内 深部



兵士長「舐めるなぁぁ!!」 ブン!!

盗賊「え!?」


―――盗賊は兵士長に回り込まれた!


盗賊「こいつ、ただもんじゃない! あたしのスピードに着いてこられるなんてっ」

魔法使い「盗賊さん!!」 ダン!! ダン!!


―――魔法使いは兵士長、兵士に向けてマジックボウを放った!!


兵士長「甘い!!」

兵士「ふっ!!」

兵士見習い「あわわわわ」


―――兵士長 兵士は魔法使いの攻撃をかわした!!




103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 22:58:37.92 ID:wqn4CCQG0
魔法使い「そんな!?」

兵士長「王国を守り続けてきたのが、オーブの力だけだと思ったか!! 我ら兵士の1人1人が、民の為、国の為に鍛錬を重ねているのだ!!」

兵士「この国に、民に危険を及ぼす輩がいる限り、我らは決して膝などつかない!!」

兵士見習い「・・・・・・です!!」

盗賊「くそぉ!! 急がなきゃいけないってのに・・・・・・」

魔法使い「(この人たちに、今起きている現状を説明しても、きっと理解してもらえないっ。 いえ、説明している時間すら惜しい・・・・・・)」

盗賊「ちょっと!! 空からお星様が降ってくんのよ!! それをなんとかしてやるってんだから、あんたら邪魔しないで!!」

兵士長「戯言を言うな!! さっさと大人しくしろ!!」


魔法使い「・・・・・・もう、時間が・・・・・・。 どうしたらっ!」






     
       「・・・・・・そう遠くもないのだろう? 歩いていくがよい」





魔法使い「・・・・・・っ!」


―――魔法使いはマジックボウの魔石を入れ替えた!!


魔法使い「盗賊さん!! 盾を上に投げてください!!」

盗賊「え!? どうしてさ!?」

魔法使い「早く!!」

盗賊「ああもう!! 分かったわよ!! はい!!」


―――盗賊は伝説の盾を放り投げた!! 盾はクルクルと回りながら宙を舞う!!


兵士長「何!?」

魔法使い「(盾の表は反射してしまう。 盾のウラ面を狙って・・・・・・!)」

魔法使い「勇者様!! 受け取ってください!!」 ダァン!!




104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 23:10:44.81 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間




大臣「時間・・・・・・か」

勇者「間に合わなかったか」

賢者「ほう、想像していたよりも大きく見えるのう・・・・・・」

勇者「ざっと、大型客船分・・・・・・いや、それ以上か」

勇者「(勇者という存在の能力がどの程度かわからんが、神や精霊の加護を期待して、本当に力技でいくしかないようだな・・・・・・)」

賢者「わしはどの道、全力で城を守るだけじゃ。 まぁ、流星が防げなければそれまでじゃがの」

勇者「・・・・・・くっくっく」

賢者「どうしたのじゃ?」

勇者「初日でこれなら、当分この先退屈することはなさそうだ・・・・・・」

賢者「ふぉ、ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉww 城で引きこもっていた頃からしたら、考えられんじゃろうw」

勇者「あぁ、悪くない」

賢者「まだまだ、冒険に出たらこんなもんじゃないぞい」

勇者「そうか、それなら・・・・・・」




勇者「勇者としての初仕事、見事成し遂げて見せようぞぉ!!」




―――流星は灼熱を纏い、雲を吹き飛ばし、空気を轟かせ、今まさに落着間近!!




105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 23:22:42.56 ID:wqn4CCQG0
賢者「はぁぁ!!」 ヒュィィン!!



―――賢者は防御結界を発動させた!!


大臣「・・・・・・っ!? あれは!?」


―――大結界の間に光が輝き、崩れた門の近くに、伝説の盾が現れた!!


勇者「(・・・・・・っ!? 着たか!?)」

賢者「(しかし、盾まで距離が・・・・・・っ)」

大臣「・・・・・・!!」


―――大臣は伝説の盾に向かって駆け出した!!


賢者「も、戻るんじゃ!! 流星の余波が・・・・・・!!」


大臣「勇者よ!!」 ガシッ ブン!


―――大臣は伝説の盾を放り投げ、勇者はそれを掴み、即座に腕に装備した!!


大臣「・・・・・・この国を頼ん・・・・・・っ」


―――超高熱と衝撃波が大結界の間を埋め尽くす!!


勇者「・・・・・・っ! 我に任せるがよい!!」



―――流星が落着!! 勇者は伝説の盾をもってして全力で受け止める!!




106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 23:28:08.91 ID:wqn4CCQG0
勇者「ぐっ・・・・・・がぁぁぁぁぁぁ!!」 

―――勇者に100のダメージ!!
   勇者に150のダメージ!!
   勇者に200のダメージ!!
   勇者に250のダメージ!!
   勇者に300のダメージ!!
   勇者に250のダメージ!!
   勇者に300のダメージ!!

賢者「勇者!!」

勇者「(ぐぅ、想像以上の力だ・・・・・・!!)」

―――勇者に200のダメージ!!
   勇者に250のダメージ!!
   勇者に200のダメージ!!
   勇者に300のダメージ!!
   勇者に400のダメージ!!
   勇者に550のダメージ!!

賢者「(い、いかん! 勇者が押されておる!!)」


―――勇者は両腕で伝説の盾を支える!! 勢いに押され、足首まで地面に陥没した!!


勇者「っぐぅぁあああああああああ!!」

勇者「(体が、バラバラになりそうだ・・・・・・!!)」


―――勇者に450のダメージ!!
   勇者に400のダメージ!!
   勇者に500のダメージ!!
   勇者に450のダメージ!!
   勇者に600のダメージ!!
   勇者に700のダメージ!!
   勇者に900のダメージ!!
   勇者に999のダメージ!!




108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/29(木) 23:40:26.67 ID:wqn4CCQG0
―――王城 深部


兵士長「何だ!? この振動は!?」

兵士「城が揺れている!?」

兵士見習い「なんなんです!?」


盗賊「や、やばいんじゃない!?」

魔法使い「・・・・・・勇者様っ」




109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:03:27.16 ID:wqn4CCQG0
―――大結界の間



賢者「ゆ、勇者の力を持ってしても・・・・・・っ」

勇者「うぉぉぉぉぉぁぁぁあああ!!」

―――防御結界を突き抜けた衝撃波が城の壁を、床を抉り、木の葉の様に吹き飛ばす!!

賢者「(わしの魔力も限界じゃ。 城を守り続けるのはもう・・・・・・っ!!)」













勇者「(・・・・・・神よ)」 グッ!


勇者「(・・・・・・精霊よ!!)」 ググッ!!


勇者「(・・・・・・今、本気で人間をの事を憂いているのなら!!)」 ギギィッ!!


―――パキン!!






勇者「我に奇跡を・・・・・・授けて見せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 パァァン!!






―――勇者の指にはめていた指輪の魔石が弾け、砕け散った!!
   
   全身と伝説の盾に魔力が充実し、堰を切ったかのように迸る!! 


勇者「うぉぉぉおおおおおおおああぁぁぁ!!」 


―――盾の輝きが太陽の様に周囲を照らし、雷鳴の如き轟音を伴って、盾と流星の接触面が爆ぜた!!
   
   その刹那、衝撃で魔方陣や周囲の壁は吹き飛び、勇者も光に包まれた!!



   空気を裂き、雲を吹き飛ばし、引き絞られ、解き放たれた矢の様に、流星は己が生まれた空の彼方へと帰っていった!! 




110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:09:36.98 ID:wqn4CCQG0
―――静寂が、太陽の光が差し込む大結界の間に残った。





賢者「や、やりおった・・・・・・。 勇者の奴め、やりおったわい・・・・・・!!」


―――賢者は防御結界をといた!!


賢者「ふぅ、わしの魔力もすっからかんじゃわい。 まったく、お主がさっさと石ころ一つ跳ね返さんからこういう・・・・・・」


―――しかし、そこに帰ってくるはずの言葉はない。


賢者「・・・・・・勇者? 勇者よ、どこにおる?」




111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:13:55.85 ID:wqn4CCQG0
こうして・・・・・・。

大臣の謀反から始まり、一夜にして巻き起こった大事件は幕を閉じた。

しかし、そのことを知る者は少ない。

城が半壊し、最悪の目覚めを体験した国王。

数時間内に起きた出来事を水晶に映し出して説明する賢者。

魔方陣の術式が完全に停止したか調査する魔法使い。

オーブどころか、伝説の盾までも手に入らず落ち込む盗賊。

各々が事後処理に、もしくは物思いに耽っていた。

しかし・・・・・・。


流星の落下を防いだ勇者の姿はどこにもなかった・・・・・・。




112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:24:50.49 ID:wqn4CCQG0
―――某国 大草原

勇者「・・・・・・む、うぅ」

勇者「・・・・・・我は、どうなったのだ・・・・・・」

勇者「ここは、どこだ?」

勇者「(我は確か、流星を受け止めて・・・・・・)」


*「あなたは伝説の盾が力を発揮した瞬間、流星を跳ね返したエネルギーを受け止めきれず、遥か彼方の大陸まで吹き飛ばされたのです」

勇者「誰だ貴様・・・・・・。 いつからそこにいる?」

*「つれないですね。 せっかく国を救った英雄を労いに来たというのに」

勇者「・・・・・・そうか、貴様が」

*「はい。 あなたが奇跡を願った存在です」

勇者「ふん。 我は流れ星に世界で最も近かったのだ。 願い事の一つでも叶えてもらわねばな」

*「・・・・・・ん? ああ、そう言えば人間界にはそういう素敵な話がありますね」

勇者「・・・・・・王城はどうなった?」

*「城が若干えぐれた以外は、大きな被害はありません。 ただ・・・・・・」

勇者「ただ?」

*「一人だけ、犠牲になった人間がいます」




     「勇者よ!!」


  「・・・・・・この国を頼ん・・・・・・っ」




勇者「・・・・・・そうか」

*「今頃、賢者が事態の収集に追われているでしょう」

勇者「・・・・・・ほう」




113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:29:52.51 ID:wqn4CCQG0
―――賢者の家


魔法使い「これでよしっと。 忘れ物はなさそうですね」

賢者「なんじゃ、もう行くのか? 救国の英雄なんじゃし。もっとゆっくりしとったらどうじゃ?」

魔法使い「英雄なんかじゃありませんよ。 だから、私は本当の英雄を探しに行きたいんです。 
     冒険にも連れて行ってほしいですし、その練習も兼ねて、世界を自分の足で見てみようかと」

賢者「ふぉっふぉww そうかいそうかいww」

盗賊「ちょっと!! 早くしなさいよ!! 船が出ちゃうじゃない!!」

賢者「何じゃ、一緒に行くのかの?」

魔法使い「いえ、私は何も聞いていませんが・・・・・・」

賢者「ふぉw まぁ、わしの方でも探してみる。 何かあったら連絡するわい」

魔法使い「はい、お師匠様」

盗賊「ねぇ!! 早く早く!!」

賢者「仲良くやるんじゃぞ」

魔法使い「あはは・・・・・・。 頑張ります」

賢者「・・・・・・もはや、多くは語るまい。 気を付けてな」

魔法使い「・・・・・・はい! 行ってきます! お師匠様!!」




114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:38:24.02 ID:wqn4CCQG0
―――某国 大草原


勇者「・・・・・・しかし、どうにも体が動かん。 まるで全身に鉛が仕込まれたようだ」

*「限界以上の力を使ったから、その反動かもしれない」

勇者「はぁ・・・・・・。 あと、やけに眠い」

*「ゆっくり眠ればいい。 君はそれだけの事をしたんだ。 悪行への戒めも、既に解いてある」


―――そよ風が勇者の頬を優しく撫でる。


勇者「そうか。 ならば・・・・・・少し眠らせてもらおうか。  我は、疲れた」

*「ああ。 お疲れ様、勇者。 また何かあったら、よろしく頼むよ」

勇者「ふ、冗談ではない。 またもなにも、次からは最初から、貴様らお得いの奇跡でなんとかするが良い」

*「そう何度もポンポンと使うわけにもいかない。 だから、君のような存在を頼りにするんだ」


―――青空はどこまでも広がっている。


勇者「頼られる身にもなってみろ。 初日でこの有様だ」

*「いや、初日にしてはすごいほうだ。 本当に。 さすが勇者」

勇者「勇者も万能ではない。 それほど勇者に期待を寄せているのなら―――」




    「貴様が勇者をやってみろ」



―――雲一つない青空だ。



                           FIN




116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:43:07.03 ID:tz3k7l/DO
おつ
良かった




117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/03/30(金) 00:44:19.87 ID:wqn4CCQG0
以上で完結です。 読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
はじめはフィルターも分からず、読みにくい文章ばかりあげて申し訳なかったです。
加えて、誤字もあったりと、物語としての流れをぶった切ったりして反省も多々ありました・・・・・・。
それでも、アドバイス頂いたり、レスを頂けたお蔭でここまで書き上げることができました。

日を跨いでしまいましたが、お付き合い頂いた方々に多大なる感謝を!!




118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/03/30(金) 00:45:53.10 ID:/WpFMqWN0

面白かった




関連記事
スポンサーサイト
・無料で女の子と出会ったったwwwwww
[ 2014年04月15日 15:59 ] カテゴリ:SS | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



アクセスランキング
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。